怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

押してはいけないスイッチ 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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プロローグ:謎のスイッチ

俺の部屋の壁には、使われていないスイッチ がある。

普通の照明スイッチとは少し違い、どこにもつながっていないはずのもの だ。

「なんだこれ?」

引っ越してきたときから気になっていたが、電気もつかないし、何の役割もないらしい。

前の住人が残したものなのか、建設時のミスなのか――

特に気にせず、ずっとそのままにしていた。

だが、ある日、ふとした出来心でそのスイッチを押してしまった。

それが、恐怖の始まりだった。

第一章:部屋の異変

カチッ――

スイッチを押した瞬間、部屋の空気が変わった気がした。

まるで何かが「起動」したような、不気味な感覚。

しかし、電気がつくわけでもなく、何も変わらない。

「……気のせいか?」

そう思い、何事もなかったかのようにその日は過ごした。

しかし、その夜。

俺は異様な音 で目を覚ました。

「カチ……カチ……」

まるで誰かが、スイッチを押しているような音 がする。

第二章:押しているのは誰か

音は壁のスイッチのほうから聞こえる。

しかし、当然ながら俺はベッドにいるし、部屋には誰もいない。

「……いや、待てよ。」

スイッチの向こう側は、隣の部屋の壁だ。

つまり――

隣の部屋から、誰かが押している……?

ゾッとした。

隣人がこんな時間に何をしているのか。

それとも、そもそもこのスイッチは隣の部屋につながっているものなのか?

気になりすぎて、翌日、隣人にそれとなく聞いてみた。

「夜、壁の向こうからスイッチの音がしませんでした?」

しかし、隣人は不思議そうな顔で言った。

「え? 俺、昨日は出張で家にいなかったけど……?」

第三章:記録された映像

あまりに気味が悪かったので、その晩、スマホでスイッチの前を撮影しながら寝ることにした。

翌朝、動画を再生してみる。

夜中の2時――

スイッチが、勝手に動いていた。

誰もいないのに、カチッ……カチッ……と押されている。

しかし、それよりも恐ろしいのは、その後だった。

スイッチが一度「ON」の状態で止まると、

画面が一瞬、ノイズに包まれ、次の瞬間、映像の中に『誰か』がいた。

黒い影のようなものが、スイッチの前に立っていたのだ。

そして、それがゆっくりとカメラに向かって振り向く。

その瞬間、動画はぷつりと途切れた。

第四章:消えないスイッチ

「……やばい。」

俺はすぐにスイッチを元の状態に戻した。

だが、何かがおかしい。

押したはずのスイッチが、次の日にはまた「ON」になっているのだ。

何度押し直しても、気づくとまた元の状態に戻っている。

まるで、誰かがそこにいる証拠を残そうとしているかのように。

俺は耐えられなくなり、管理会社に電話して事情を話した。

すると、意外な答えが返ってきた。

「ああ、そのスイッチですか……。以前の住人も、同じことを言ってましたよ。」

「え……?」

「結局、その方も原因が分からないまま、気味が悪くなって引っ越されたみたいです。」

背筋が凍る。

そして、その翌日――

部屋に帰ると、スイッチの横に何かのメモ が貼られていた。

見覚えのない筆跡で、そこにはこう書かれていた。

「絶対に押すな」

結末:押してしまった結末

もう限界だった。

俺は即座に引っ越しを決意し、新しい部屋を探し始めた。

しかし――

引っ越し先の物件を内見したとき、ふと壁を見てゾッとした。

そこにも、あのスイッチがあったのだ。

俺がじっとそれを見ていると、案内していた不動産会社の人が言った。

「あ、気にしないでくださいね。前の住人も特に何も言わずに出ていきましたから。」



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