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【禁断の儀式】魍魎召喚を試みた男の末路 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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序章:奇妙な古書

都市伝説マニアの 田村和也(たむら・かずや) は、ネットオークションで手に入れた古い和綴じ本を開いた瞬間、背筋に冷たいものを感じた。

本のタイトルは 『魍魎秘儀録(もうりょうひぎろく)』。江戸時代の怪異を記録したもので、魍魎を召喚する禁断の儀式が詳細に記されていた。

田村はオカルト系のブログを運営しており、面白半分でこの儀式を試してみることにした。

第一章:魍魎召喚の儀

本に記されていた召喚方法は、こうだ。

「丑三つ時に、四方を鏡で囲み、自身の血を一滴落とせ」
「その後、決して鏡の中を覗いてはならぬ」

田村は興味本位でこれを実行することにした。自宅の一室に四枚の大きな鏡を配置し、ナイフで指を切って血を垂らした。

部屋は静寂に包まれ、空気が重くなる。

ふと、鏡の中で “何か” が動いた気がした。

「……気のせいか?」

そう思いながらも、田村は本の注意書きを無視し、鏡を覗き込んだ。

第二章:鏡の向こう側

そこには、自分の姿が映っていた——だが、 “目” が違う。

普段より大きく、真っ黒な瞳。何か別のモノが、自分の姿を借りてこちらを見ている。

田村は息を飲み、後ずさった。

鏡の中の“自分”は動かない。 ニタリと不気味な笑みを浮かべたまま、こちらをじっと見つめている。

そして、口を開いた。

「……カワリタイ……?」

田村の背筋が凍った。鏡の中の“自分”が勝手に喋っているのだ。

恐怖に駆られた田村は、その場から逃げようとした——しかし、足が動かない。

次の瞬間、 視界が反転した。

第三章:入れ替わり

気がつくと、田村は鏡の中にいた。

外側の“田村”が、ゆっくりと鏡に背を向け、部屋を出ていく。

「ま、待て!!」

田村は叫んだが、声は鏡の中に反響するだけだった。

必死に鏡を叩くが、そこはもう “この世” ではなかった。

部屋の明かりが消え、漆黒の闇が広がる。四方八方から 何か の気配が迫る。

「やあ、新入りか……」

無数の目が田村を取り囲む。彼はようやく理解した。

ここは、魍魎たちの世界なのだ。

そして、現実世界にいるのは 魍魎に取り憑かれた“田村”。

もう二度と、誰にも気づかれることはない——。

エピローグ:ブログの更新

翌日、田村のブログが更新された。

《禁断の召喚術、成功しました!》

その記事には、こう書かれていた。

「やり方は簡単。皆さんも試してみてください。」

だが、その日を境に “魍魎召喚” を試した者たちが次々と消息を絶つことになる……。

――あなたは、鏡を覗き込みたくなっていないだろうか?



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