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【友達が消えた話】誰も覚えていない親友の存在 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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序章:違和感の始まり

大学生の 和也(かずや) には、幼なじみの 隼人(はやと) という親友がいた。

小学校からの付き合いで、どこへ行くにも一緒だった。

ゲームも好きなものも似ていて、大学も同じ。

「俺たち、一生親友だよな」

隼人はいつもそう言っていた。

だが—— ある日を境に、隼人は消えた。

第一章:消えた日

それは大学の講義が終わった後のことだった。

「今日はバイトないし、どっか寄ってく?」

隼人がそう言い、和也は「カフェでも行くか」と返した。

二人は大学近くの商店街を歩き、ふと、裏路地に小さな喫茶店を見つけた。

看板には、こう書かれていた。

《思い出の部屋》

「なんかレトロな雰囲気だな」

二人は軽い気持ちでその喫茶店に入った。

店内は静かで、アンティークな家具が並び、どこか懐かしい香りが漂っていた。

奥の席に座り、コーヒーを注文する。

「ここ、いいな」

隼人がそう言ったのが、彼の最後の言葉だった。

次の瞬間—— 気がつくと、隼人がいなくなっていた。

第二章:誰も覚えていない親友

「……隼人?」

和也は周囲を見回した。

しかし、そこには誰もいない。

「すみません、ここにいた友達、どこ行きました?」

和也は店員に尋ねた。

だが、店員は不思議そうに首をかしげた。

「お客様、お一人で来店されましたよ?」

「え?」

スマホを取り出し、隼人とのLINEを確認する。

——そこには何もなかった。

トーク履歴も、通話履歴も、隼人の登録すら消えていた。

慌てて大学の友人たちに連絡する。

「おい、隼人が急にいなくなった! どこかで見なかったか?」

しかし、返ってきたのは——

「……隼人って誰?」

「は? 何言ってんだよ! 俺たちいつも4人でつるんでただろ!」

「え、俺らは最初から3人だろ?」

—— 隼人の存在自体が、誰の記憶からも消えていた。

第三章:空白の写真

信じられず、和也は昔の写真を確認した。

小学校の運動会、中学の文化祭、大学の飲み会——

すべての写真に、隼人の姿はなかった。

しかし、一つだけ 奇妙な写真 があった。

それは、大学の入学式の日の写真。

和也と友人たちが写っているのだが——

右端に、不自然な空間がぽっかりと空いていた。

まるで誰かがそこにいたのに、消されたように。

さらに、その写真の端には 喫茶店《思い出の部屋》の看板がぼんやりと写っていた。

エピローグ:消えた喫茶店

和也は再びあの喫茶店に行こうとした。

しかし、大学近くの裏路地を何度探しても—— その喫茶店はどこにもなかった。

代わりに、そこには古びた看板が残っていた。

《思い出の部屋》——忘れたい記憶を預かります。

和也は、ゾッとした。

隼人は、この店に「預けられた」のか?

それとも、自分が隼人を忘れるはずの人間だったのか——。

そして、和也はふと考えた。

—— 本当に消えたのは、隼人だったのか?

それとも、誰かが自分を 「隼人のいない世界」に作り変えたのか?



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