目次
序章──違和感
大学生の「遥」は、ある日ふとした違和感を覚えた。
家族との思い出が、どこか不自然なのだ。
幼い頃の記憶を思い返すと、父や母との楽しい思い出がたくさん浮かぶ。しかし、そのどれもが妙に鮮明すぎるのだ。
運動会、誕生日、旅行……すべての記憶が、まるで映画のワンシーンのようにクリアで、同じ視点から見ている。
「そんなこと、あり得るの?」
普通、人の記憶は曖昧なはずだ。特に幼少期の記憶は断片的なものが多い。
違和感を抱いた遥は、家族写真を見返してみることにした。
すると、衝撃的な事実に気づいた。
どの写真も、家族がまったく変わらないのだ。
服装も、背景も、何年経ってもまるでコピーしたかのように同じだった。
「これは……どういうこと?」
第一章──消された過去
不安に駆られた遥は、幼馴染の「健太」に相談することにした。
「ねえ、私の家族って、昔から変わってないよね?」
健太は少し考え込んだ後、意外なことを言った。
「遥……お前、昔は一人暮らしだったよな?」
「え?」
「いや、確か中学の頃、お前の家に遊びに行ったけど、親御さんの話とか一度も聞いたことなかったし……」
遥は混乱した。
記憶の中では、家族と一緒に暮らしていたはずだ。だが、健太の話が正しければ、自分の記憶は完全に作り替えられていることになる。
遥は確かめるため、実家の押し入れにあるアルバムを確認することにした。
第二章──不自然なアルバム
夜、家族が寝静まった後、遥は押し入れからアルバムを取り出した。
ページをめくると、幼い頃の写真がずらりと並んでいる。しかし、違和感があった。
写真の中の「自分」が、どれも全く同じ表情をしている。
そして、あることに気づいた。
どの写真にも「母の顔がはっきりと写っていない」のだ。
目の部分が影になっていたり、ぶれていたり、不自然に切り取られていたり……。
「なんで……?」
恐る恐る最後のページを開いた。
そこには、白紙のページが続いていた。
しかし、一番最後のページに、たった一行だけ手書きの文字があった。
「気づいてしまったね?」
遥は息を呑んだ。
背後で、誰かが立っている気配がした。
第三章──作られた家族
振り向くと、母が立っていた。
「どうしたの?」
いつもと変わらない優しい声。しかし、遥は本能的に分かった。
これは母ではない。
「ねえ、お母さん……私たちの昔の写真、どうしてこんなにおかしいの?」
母は少しの間沈黙した後、微笑んだ。
「……大丈夫よ、すぐに忘れられるから」
その瞬間、遥の視界が歪み、意識が遠のいた。
終章──新しい記憶
目を覚ますと、遥はベッドの上にいた。
リビングからは、父と母の楽しげな声が聞こえてくる。
遥は安心して布団から出る。
「おはよう、お母さん」
母は微笑んで朝食を用意していた。
──何か、大切なことを忘れている気がする。
だが、それが何だったのかは思い出せなかった。
遥は気にしないことにして、家族と朝食を囲んだ。
それが、自分にとって「普通」なのだから。
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