目次
消えた友達
俺の友人 田中ケンタ が、突然 行方不明 になった。
最後に連絡を取ったのは3日前。
「おい、ヤバいもの見つけたかもしれない。」
深夜に届いたそのメッセージを最後に、ケンタと連絡が取れなくなった。
最初はいつもの冗談だと思っていた。
でも、2日経っても、3日経っても、彼は学校に来なかった。
家を訪ねても、彼の母親は困惑した顔でこう言った。
「…ケンタ? もう うちにはいない んだけど。」
俺は意味が分からなかった。
「いないって…どういうことですか?」
「だって、ケンタは そんな子、最初からいなかった でしょ?」
母親の表情は真剣だった。
俺は背筋が凍った。
確かに、ケンタはここに住んでいた。
俺とずっと一緒にいた。
なのに——
彼の存在が、消えていた。
知ってはいけないこと
ケンタが最後に送ってきたメッセージを思い出し、スマホを開く。
しかし——
そのメッセージが消えていた。
「…嘘だろ?」
履歴を何度見返しても、ケンタからのメッセージは一切残っていない。
でも、俺の記憶には確かにある。
「ヤバいもの見つけたかもしれない。」
ケンタは何を見つけてしまったのか?
俺は、彼が行きそうな場所を必死で探した。
そして、思い出した。
「廃墟になった旧図書館」
旧図書館の異変
俺たちの通う町には、古い図書館があった。
10年前に閉館し、今では誰も使っていない。
しかし、ケンタは好奇心旺盛で「あそこに秘密の資料があるらしい」とよく言っていた。
俺は、もしかしたらケンタがそこに行ったのではないかと思い、旧図書館へ向かった。
鍵はかかっておらず、扉はギィィと音を立てて開いた。
中に入ると、埃のにおいが鼻をつく。
本棚は倒れ、ガラス窓は割れ、まるで 時間が止まったような空間 だった。
俺は懐中電灯を照らしながら、ケンタの痕跡を探した。
そして、奥の部屋で 奇妙なもの を見つけた。
ケンタが見たもの
それは、古びた 「町の記録」 だった。
表紙には 「住民台帳」 と書かれている。
ページをめくると、過去50年間の町の住民の名前が記されていた。
だが、ある年を境に、いくつもの名前が黒く塗りつぶされていた。
消された名前の数は 異常なほど多い。
「…なんだ、これ?」
さらにページをめくると、最後の記録にこう書かれていた。
「消えた者の名を知るなかれ」
「名を呼ぶなかれ」
「彼らは最初から存在しなかった者である」
俺は、手が震えた。
もしかして——
ケンタの名前も ここに載っていたのではないか?
彼はこれを見てしまい、知ってはいけないことを知ったのではないか?
そして——
消された。
「知ってしまったね」
その瞬間、背後から 気配 を感じた。
誰かが、いる。
ゆっくりと振り向く。
そこには——
ケンタが立っていた。
「……ケンタ!!」
俺は思わず叫んだ。
しかし、ケンタは無表情のまま、ゆっくりと首を振った。
「俺は…もう、ここにいちゃいけないんだ。」
「……どういうことだよ!?」
「知っちゃったからさ。あのリストの意味を。」
ケンタの声は、どこか遠くから聞こえているようだった。
「だから、お前も 俺のことを忘れろ。」
「…そんなこと、できるわけないだろ!!」
「……もう遅いよ。」
その瞬間、俺の視界が真っ暗になった。
すべての記憶が消える時
気がつくと、俺は 自分の部屋のベッドの上 にいた。
「……夢?」
いや、違う。
俺は確かに、旧図書館でケンタを見た。
スマホを確認する。
ケンタの連絡先は 消えていた。
学校に行くと、誰もケンタのことを知らなかった。
「ケンタ? ……誰、それ?」
友人たちが 本気で知らない顔 をしている。
そして、俺も気づいてしまった。
——ケンタの顔が、思い出せない。
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