目次
廃病院の噂
「あの廃病院、夜に行くと帰れなくなるらしいぞ。」
地元で有名な心霊スポットがある。10年以上前に閉院した病院で、今ではボロボロに崩れかけている。
『夜中に病院の中でかくれんぼをすると、最後に“知らない誰か”が増えている』
そんな噂がある場所だ。
もちろん、俺たちは怖いもの見たさで行くことにした。
「マジで出るなら動画撮ってバズらせようぜ！」
そう言って、俺・ユウスケ・タカシ・カズキの4人で、その廃病院に向かった。
廃病院の内部
病院の入り口は壊れていて、簡単に入ることができた。
中は想像以上に荒れ果てていた。散乱するカルテ、ボロボロのベッド、剥がれた壁紙。
だが、もっと気になるのは 異様な静けさ だった。
「なんか、音がしねぇな…」
まるで、病院の中だけ時間が止まったような感覚だった。
「まぁいい。かくれんぼ、始めようぜ。」
タカシが笑いながら言い出し、じゃんけんの結果、俺が鬼をやることになった。
かくれんぼ開始
「じゃあ、30数えるからな！」
俺は目をつぶってカウントを始めた。
「…28、29、30！ よし、探すぞ！」
病室をひとつずつ覗いていく。
すぐにカズキを見つけた。
「おい、カズキ発見！」
「ちっ、早ぇよ。」
次に見つけたのはタカシだった。
「タカシ、いたぞ！」
「うわっ、マジかよ！」
残るはユウスケ。
俺とカズキとタカシの3人で、ユウスケを探し始めた。
しかし、どこにもいない。
30分経っても、1時間経っても、見つからない。
「…おい、マジでいないぞ。」
不安になった俺たちは、スマホでユウスケに電話をかけた。
『現在、電源が入っていないか…』
「…ヤバくね？」
俺たちは、病院中を探し回った。
そして、ある部屋の前で足を止めた。
手術室の異変
『手術室』
その扉の前に、ユウスケのスマホが落ちていた。
「ユウスケ…ここにいるのか？」
おそるおそるドアを開ける。
中には誰もいなかった。
だが、奥の壁に 妙な落書き があった。
「あとひとり」
「……な、なんだよこれ…」
その瞬間——
カンッ…カンッ…
どこからか、金属を引きずるような音が聞こえた。
音は徐々に近づいてくる。
俺たちは、息をひそめて固まった。
ギィィ……
ゆっくりと、廊下の奥の扉が開いた。
そして——
白衣を着た何かが、こちらを覗いていた。
“知らない誰か”
顔が見えない。
髪が乱れ、白衣は血まみれ。
それはゆっくりと、こちらに向かって歩いてくる。
カンッ…カンッ…
「やべぇ、逃げろ！！」
俺たちは全速力で病院を飛び出した。
廃病院を出ると、息を切らしながらお互いを確認する。
「……3人？」
俺と、カズキと、タカシ。
「ユウスケは！？？」
その時、背後の病院の窓に、ユウスケが立っていた。
「ユウスケ！！」
しかし、彼は動かない。ただ、ぼんやりとこちらを見ている。
いや、よく見ると——
ユウスケの隣に、もうひとり誰かがいた。
真っ黒な顔の、誰かが。
次の瞬間、窓の向こうのユウスケが、ニヤリと笑った。
そして、そのまま、スッと闇に消えた。
消えたユウスケ
俺たちは警察に通報し、捜索願を出した。
しかし、ユウスケは見つからなかった。
後日、タカシが病院で拾ったユウスケのスマホを確認すると、最後に録画された動画が残っていた。
そこには、ユウスケが病院の中でかくれんぼをしている様子が映っていた。
しかし——
動画の最後、ユウスケはカメラを持ったまま呟いていた。
「おい、お前誰だよ。」
「……俺たち、4人で来たよな？」
「5人目……誰？」
そこで映像は途切れていた。
そして、また
その後、廃病院では またひとり、行方不明者が出た。
そして噂はこう変わった。
「かくれんぼをすると、“5人目” が増える。
そして、誰かが消える。」
もし、この話を読んで 廃病院に行こうと思ったなら——
どうか、人数を数えるのを忘れないでほしい。
■おすすめ
マンガ無料立ち読み
1冊115円のDMMコミックレンタル！
人気の漫画が32000冊以上読み放題【スキマ】
人気コミック絶賛発売中！【DMMブックス】
ロリポップ！
ムームーサーバー
新作続々追加！オーディオブック聴くなら - audiobook.jp
 | 新品価格 |
 |
 | ページをめくってゾッとする 1分で読める怖い話 [ 池田書店編集部 ] 価格:1078円 |
