目次
忘れられた村
大学で写真サークルに所属している俺は、ある日「地図に載っていない村」の噂を耳にした。
古い郷土資料館で見つけた地図には、今は誰も住んでいない「廃村」が記されていた。しかし、最近の地図にはその村の記載がない。
興味を持った俺は、友人の ケンタとユウスケ を誘い、その村を探しに行くことにした。
「地図にない村とか、ワクワクするな!」
「写真撮ってネットに載せたらバズるかもな。」
そんな軽い気持ちだった。
だが、俺たちは知らなかった。
そこが 「忘れられた場所」 だった理由を——。
村の入口と不自然な静寂
古い地図を頼りに山道を進むと、やがて 木々に覆われた鳥居 が現れた。
「こんなところに神社か?」
しかし、鳥居をくぐった先にあったのは 神社ではなく、古びた村 だった。
10軒ほどの家屋が並ぶ小さな集落。しかし、どの家も長年放置されたように荒れ果てている。
それよりも異様だったのは——
音が何も聞こえないこと。
風の音も、鳥の鳴き声もない。まるで、世界が 音ごと消されたような静寂 に包まれていた。
「…なんか、おかしくないか?」
ケンタが小声で言ったが、ユウスケは気にせずカメラを構えた。
「大丈夫だって。ただの廃村だろ。」
俺もそう思おうとした。
しかし、村の奥に進んだ時、俺たちは 違和感の正体 に気づいた。
住んでいるはずのない家
「おい、あれ…」
ユウスケが指をさした。
ボロボロの民家の 窓の内側から、カーテンが揺れていた。
「誰かいるのか?」
恐る恐る近づくと、家の前には 新しい足跡 があった。
「…人が住んでるのか?」
そう思った瞬間、家の中から ギィ…ギィ… と床を軋ませる音が聞こえた。
誰かが歩いている。
それも、ひとりやふたりじゃない。
「ヤバい、戻ろう。」
直感的にそう思い、引き返そうとした。
しかし——
来た道が、消えていた。
迷い込んだ村
「…え?こんな道だったか?」
振り返ると、鳥居があったはずの場所は ただの木々に覆われた壁 になっていた。
「おい、どういうことだよ!」
パニックになりながらスマホのGPSを確認するが、位置情報は 「測位不能」 と表示されている。
まるで、この場所が現実から切り離されたように。
「とりあえず、他の道を探そう。」
3人で村を歩き回ったが、どの道も 行き止まりになっていた。
笑い声と足跡
「なぁ…誰かの声、聞こえないか?」
ケンタが震えた声で言った。
確かに、微かに 「くすくす…」 という笑い声が聞こえる。
しかも、それが あちこちから聞こえてくる。
「誰かいるなら、出てきてくれ!!」
ユウスケが叫んだ瞬間、俺たちは 最悪の光景 を見た。
村中の家の窓に、人の顔があった。
顔、顔、顔。
どの窓にも、無表情な顔がこちらを見つめている。
「走れ!!」
俺たちは全力で駆け出した。
村からの脱出
無我夢中で走っていると、突然 視界が暗転した。
次に気がついた時、俺は 村の入口に立っていた。
「…え?」
ケンタとユウスケも、隣にいた。
「戻ってきた…?」
振り返ると、そこにはもう 村はなかった。
ただの 森が広がっているだけ だった。
「おい…村は??」
何度確認しても、あの村は 消えていた。
消えた記録
帰宅後、ユウスケが撮った写真を確認した。
だが——
村の写真が、一枚もなかった。
すべてのデータが 「破損」 していた。
それだけじゃない。
地図からも、郷土資料からも、あの村の記録が消えていた。
まるで、あの場所が 最初から存在しなかったかのように。
俺たちは確かに、「忘れられた場所」 に足を踏み入れてしまったのだ。
二度と見つけられない村。
二度と帰れなかったかもしれない場所。
もしまた、どこかで 地図にない村 を見つけたら——
決して、近づいてはいけない。
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