目次
序章──奇妙な投稿
都内のフリーライター・「山崎涼」は、オカルト系の記事を専門にしていた。ある日、匿名の読者から奇妙な情報が寄せられる。
「深夜2時、旧道沿いで騎兵隊の行進を見ました。馬の足音が響き、軍服を着た兵士たちが列を成していました。しかし、翌朝には何の痕跡もありませんでした」
添付された写真には、霧の中にぼんやりと浮かぶ騎兵隊らしき影が映っていた。
「騎兵隊……?」
戦国時代や幕末ならともかく、現代の日本で騎兵隊が目撃されるとは奇妙な話だった。興味を持った涼は、投稿者が指摘した旧道へ向かうことにした。
第一章──夜の旧道
調査のため、涼は問題の旧道に向かった。そこはかつて戦場だった場所で、古い軍の駐屯地があったとされる地域だ。
時計が深夜2時を指す頃、静寂の中に異変が生じた。
「カツン……カツン……」
何かが地面を踏みしめる音がする。次第に、それは複数の足音となり、さらに「馬の嘶(いなな)き」が聞こえ始めた。
涼が目を凝らすと、霧の中から古めかしい軍服を着た騎兵隊が現れた。
彼らは無言で進み、どこかへ向かっているようだった。しかし、奇妙なことに、誰一人として涼の存在に気づいていない。
まるで、そこに「いないもの」のように扱われているようだった。
涼は息を潜め、スマホで写真を撮ろうとした。だが、その瞬間、騎兵の一人がピタリと動きを止め、涼の方を向いた。
目が合った──。
いや、目が「なかった」。
顔の部分が黒く塗りつぶされたように、何もなかったのだ。
第二章──消えた記録
慌ててその場を離れた涼は、撮影した写真を確認しようとした。しかし、スマホの画面には「ファイルが破損しています」と表示され、何も映っていなかった。
まるで、何者かが証拠を消し去ろうとしたかのように。
翌日、涼はさらに調査を進めた。すると、この旧道では過去にも「騎兵隊の目撃情報」が報告されていたことが分かった。
しかし、不思議なことに、それを記録した資料や新聞記事はすべて「行方不明」になっていた。まるで、この出来事自体が誰かによって隠されているかのように。
涼は、ある疑念を抱く。
──この騎兵隊は「歴史の闇に消された軍隊」なのではないか?
第三章──封印された記憶
さらに調査を進めるうち、涼は一人の老人と出会った。彼は小声でこう告げた。
「あの騎兵隊は、この国の歴史から消された者たちだ……」
老人によると、その騎兵隊はかつて極秘の軍事作戦に従事していた部隊で、戦争の終盤、何らかの理由で全員が「抹消」されたという。
記録上、彼らは存在しなかったことにされ、家族にも死亡通知すら届かなかった。
「だから、彼らは今も行進を続けているのさ。自分たちが『いた』ことを証明するためにな……」
涼は背筋が寒くなった。
では、もし彼らの存在を知ってしまった者がいたら──?
終章──騎兵隊の視線
その夜、涼の家の前で異変が起こった。
「カツン……カツン……」
あの時と同じ、馬の蹄の音。
カーテンを少し開けると、深夜の街灯の下に騎兵隊の影が立っていた。
そして、その中の一人が涼の方を向いた。
──彼らは「自分を知った者」を迎えに来たのだ。
涼は恐怖で動けなかった。
やがて、騎兵隊は静かに姿を消した。
翌朝、涼はあることに気づいた。
昨日まで存在していた自分の取材ノートが、すべて真っ白になっていた。
まるで、最初から何も書かれていなかったかのように──。
そして、その後、涼が「騎兵隊」について語ることは二度となかった。
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