怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

終点のない電車——乗り過ごした先の世界 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

投稿日:

会社の飲み会の帰り、俺は久しぶりに電車を乗り過ごした。

疲れが溜まっていたせいか、気づいたときには終電の時間を過ぎ、見知らぬ駅に到着していた。

「……やっちまったな」

慌ててスマホを確認すると、電波が圏外になっている。

「こんな都内で圏外ってあるか?」

不審に思いながら電車を降りると、ホームは異様に静かだった。

そして、駅名を確認しようとした瞬間——背筋が凍った。

駅名表示が、ぐにゃりと歪んで読めない。

まるで、何かが意図的に隠しているかのように——。

誰もいない駅

とにかくタクシーを探そうと改札へ向かった。

しかし、自動改札機が動いていない。

試しにICカードをかざすが、反応がない。

「……おかしい」

駅員を探そうと窓口を覗き込むが、誰もいない。

俺は仕方なく、駅の外に出ることにした。

ドアを押すと、重々しい音を立てて開いた。

しかし、そこに広がっていたのは——

真っ暗な何もない空間だった。

道路も、建物も、街灯すらない。

ただ、闇が広がっているだけ。

「……どこだよ、ここ……」

恐怖がじわじわと湧き上がる。

すると——

背後で、電車のドアが閉まる音がした。

「戻らないといけない」

振り返ると、先ほど乗っていた電車がまだホームに停まっていた。

だが、よく見ると——

車両の窓ガラスが、黒い影のようなもので覆われている。

そして、中には"誰か"が座っていた。

いや——"誰か"ではない。

それは、人の形をしているが、顔がない。

黒い影のような存在が、電車の座席にズラリと並んでいるのだ。

そして、一斉に俺の方を向いた。

「……乗らないと」

そう思った瞬間、体が勝手に動き、電車の中へ足を踏み入れていた。

終点のない電車

電車がゆっくりと動き出す。

車内は異様なほど静かだった。

顔のない乗客たちは、それぞれの席に座り、じっと動かない。

「このまま乗っていて、大丈夫なのか……?」

しかし、降りようにもドアは開かない。

車窓の外を見ても、景色は真っ暗で、何も見えない。

まるで、"どこにも向かっていない"かのようだった。

その時——

カタン……カタン……

電車の奥から、何かが歩いてくる音が聞こえた。

俺は、ゆっくりと振り向いた。

そこに立っていたのは——

「俺自身」だった。

「お前、間違えたな」
それは、俺の姿をした"何か"だった。

しかし、目の奥が真っ黒に沈んでいて、まるで深い穴のようだった。

「お前、間違えたな」

"俺"がそう言った。

「ここに来ちゃいけなかった」

「……どういう意味だ?」

「"乗り過ごした"んじゃない。"連れてこられた"んだ」

ぞくりと、体が凍りつく。

"俺"はゆっくりと手を伸ばしてきた。

「でも、まだ間に合う」

そう言うと——

「目を閉じろ」

俺は、言われるがままに目を閉じた。

帰還

気がつくと、俺は元の電車の中にいた。

「……ん?」

辺りを見回すと、そこは見慣れた車両だった。

外を見ると、次の駅はいつも降りるはずの駅だった。

「……夢、か?」

だが、ポケットの中を探ると——

見覚えのない切符が入っていた。

そこには、こう書かれていた。

「終点行き」

俺は、その切符をそっと捨てた。



■おすすめ

マンガ無料立ち読み

1冊115円のDMMコミックレンタル!

人気の漫画が32000冊以上読み放題【スキマ】

人気コミック絶賛発売中!【DMMブックス】




ロリポップ!

ムームーサーバー


新作続々追加!オーディオブック聴くなら - audiobook.jp



世界の心霊写真 ~カメラがとらえた幽霊たち、その歴史と真偽

新品価格
¥3,080から
(2024/10/17 10:26時点)



ほんとうにあった怖い話「年上の彼女」



ページをめくってゾッとする 1分で読める怖い話 [ 池田書店編集部 ]

価格:1078円
(2024/7/23 13:25時点)
感想(1件)



-怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集
-, , , , , ,

Copyright© 映画・ドラマ・本・怖い話・奇妙な話・不思議な話・短編・ガールズ戦士シリーズ・Girls2(ガールズガールズ)などの紹介・感想ブログです。 , 2025 All Rights Reserved Powered by STINGER.