冬のある日、俺は仕事帰りに奇妙な足跡を見つけた。
家の前の雪の上に、一列に並んだ足跡。
しかし、その足跡には始まりも終わりもなかった。
まるで、空から降ってきたかのように——。
目次
足跡の不自然さ
それは、ちょうど俺の家の玄関前に現れていた。
誰かが訪ねてきたのかと思ったが、インターホンの履歴はない。
「気味が悪いな……」
とりあえず家の中に入り、窓から外を覗く。
すると——
足跡が増えていた。
数分前には一本だったのに、二列目の足跡ができている。
しかも、その足跡は玄関の前で止まっている。
まるで、誰かが俺の家の中を覗いているように——。
誰もいないはずの家
不安になり、玄関の鍵を確認する。
もちろん、しっかり閉まっている。
「気のせい……だよな？」
しかし、その夜——異変が起きた。
寝ていると、微かに玄関のドアノブがガチャガチャと揺れる音が聞こえた。
「……誰だ？」
恐る恐る覗き穴を覗く。
だが、そこには誰もいなかった。
翌朝、外に出ると——
足跡が、玄関から"中へ"向かっていた。
雪の上にはっきりと、家の中へ続く足跡が刻まれていた。
しかし、どこにも出ていった形跡はない。
まるで"何か"が、今も家の中にいるかのように——。
もう一つの足跡
不安になりながらも、仕事へ行こうと玄関を出た。
ふと足元を見ると——
自分の足跡のすぐ隣に、もう一つの足跡が並んでいた。
俺は、今まで一人で歩いていたはずなのに。
「……誰が、俺の隣を歩いていた？」
ぞくりと背筋が凍った。
そして、その足跡は——
家の中から始まっていた。
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