目次
序章:消えた友人
「おい、吉川のやつ、まだ見つからないのか?」
大学生の 高橋(たかはし) は、警察の捜索が続いていることをニュースで知った。
行方不明になったのは、同じ大学の友人 吉川(よしかわ)。
一週間前、彼は「山奥の廃屋に行く」と言い残し、それっきり消息を絶った。
吉川は心霊スポット巡りが趣味だった。
「面白そうな場所見つけたんだよ! 今度行こうぜ!」
そう言っていたが、高橋は興味がなく、適当にあしらっていた。
しかし、いなくなったと聞いてから、妙に胸騒ぎがした。
「もし、あの廃屋に何かあるなら……?」
そう考えた高橋は、吉川が話していた 山奥の廃屋 に向かうことを決意した。
第一章:不気味な山道
吉川が最後に残したメッセージには、簡単な地図が添えられていた。
それを頼りに、高橋はバイクを走らせ、山奥へと向かった。
しかし、途中から道は舗装されておらず、やがて 細い獣道 へと変わっていく。
「本当にこんなところに家があるのか……?」
不安になりつつも、進み続けると——
やがて、木々の間に 朽ち果てた古民家 が見えてきた。
屋根は崩れ、壁にはツタが絡みつき、まるで 何十年も人が住んでいないような雰囲気 だった。
ギィ……
そっと扉を開けると、湿った木の匂いが鼻をついた。
中に足を踏み入れると、誰もいないはずの家から、微かに 何かの気配 を感じた。
「……吉川?」
返事はない。
しかし、奥の部屋から かすかに話し声が聞こえた。
第二章:奇妙な痕跡
高橋は慎重に進みながら、ふと床に散らばる紙切れに気づいた。
拾い上げると、それは 古びた日記 だった。
《○月×日》
今日もあの子が来た。嬉しい。でも、また隠れないといけない。
《○月△日》
お父さんが怒る。もう出ちゃダメって。でも、あの子が寂しそうだった。
「……何だこれ?」
まるで、誰かがここで隠れて暮らしていたような記録 だった。
さらに奥へ進むと、朽ちかけた襖(ふすま)の向こうに 不自然な“穴” があった。
まるで、誰かが壁を破って通路を作ったような穴 だった。
嫌な予感がしながらも、スマホのライトを照らし、その穴を覗き込んだ。
—— そこには、無数の白い人形が並んでいた。
しかも、それらの人形は どれも異様にリアルな表情 をしていた。
まるで、本物の人間をモデルにしたかのように——。
「……っ!」
高橋は背筋が凍った。
すると、背後から——
—— ギィ……
廃屋の入り口の扉が、ゆっくりと閉まる音がした。
第三章:もう一人の“吉川”
「……誰かいるのか?」
恐る恐る振り向くと、暗がりの中から 人影 が現れた。
「……高橋?」
それは—— 吉川だった。
「お前……無事だったのか!?」
安堵したのも束の間、吉川の様子が 何かおかしい。
彼の顔は青白く、目の焦点が合っていない。
「……まだ、帰れないんだ……」
「え?」
吉川が ゆっくりと笑った。
「俺……もう、“ここ”の一部だからさ……」
次の瞬間——
奥の壁に並んでいた 白い人形の口が、一斉に動いた。
—— 「たすけて」
高橋の頭が混乱する。
「おい、吉川! ここから出るぞ!」
「ダメだよ……だって俺……」
吉川の口が、にたりと歪んだ。
「もう、とっくに死んでるんだ。」
—— ゴトン。
吉川の足元に、朽ち果てた 人間の骨 が転がった。
それを見た瞬間、高橋は全速力で廃屋から飛び出した。
背後からは、吉川の声が響く。
「また来てよ……今度は、お前もこっち側にね……」
エピローグ:戻れない記憶
命からがら逃げ帰った高橋は、すぐに警察に通報した。
しかし——
警察が捜索に入ると、そこには 何もなかった。
あの廃屋も、人形も、吉川の姿も。
ただ、警察はこう言った。
「このあたりでは、昔から “行方不明者が多い” ことで有名なんですよ。」
「特に、30年前に一家心中があった廃屋があったらしくてね……。」
「……そこに入り込んだ人は、二度と帰ってこないって噂です。」
高橋の脳裏に、吉川の最後の言葉が蘇る。
——「もう、とっくに死んでるんだ。」
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