目次
序章──壊れた時計
会社員の三浦悠斗は、いつも通りの通勤電車に揺られていた。
スマホを開き、ニュースを眺める。時計の表示は7時43分。
ドアの向こうには、見慣れた街並みが流れている。
しかし、次に気がついた時、悠斗のスマホの時計は7時48分を示していた。
ほんの数分寝てしまったのだろうか。
だが、不思議だったのは──
電車の窓から見える景色が、5分前と全く同じだったことだ。
第一章──誰も気づかない異変
電車はそのまま進み、いつもの駅に到着した。
乗客たちは何事もないように降りていく。
「今の、気のせいか……?」
悠斗は自分にそう言い聞かせ、駅の改札を抜けた。
しかし、会社に着いた後も妙な違和感が消えなかった。
同僚の田村が何気なく言った。
「お前、電車遅れてたな。いつもより5分くらい遅かったろ?」
「え……?」
悠斗は言葉を失った。
電車は確かに時刻通りに来たはずだ。
だが、周りの人々は最初から電車が遅れていたことになっているようだった。
第二章──繰り返される時間
次の日も、同じ電車に乗った。
車内の時計は7時43分を指している。
「昨日のことは気のせいだ」と自分に言い聞かせる。
しかし、同じように目を閉じて少しうたた寝をした瞬間──
気がつくと時計は7時48分になっていた。
そして、窓の外にはまた5分前の景色が広がっていた。
悠斗は周囲を見回したが、誰も異変に気づいていない。
「これ……何なんだ?」
第三章──消えた駅の記憶
悠斗はその日、帰り道に図書館へ立ち寄った。
古い資料を調べるうちに、ある奇妙な記事を見つけた。
『昭和43年、○○線で起きた脱線事故。死者15名』
その事故が起きたのは、今悠斗が毎日通っている路線のちょうど7時48分だった。
しかし、不思議なことに、その駅の名前は今の地図には載っていなかった。
まるで、その駅自体が時空から消えてしまったように。
終章──消えた5分間の真実
翌朝、悠斗は再び電車に乗った。
7時43分。
景色は同じ。眠らないように必死で目を開けていた。
しかし──
7時48分になる瞬間、電車の中の空気がひんやりと変わった。
隣に座っていたはずの乗客が、一瞬にして消えていた。
窓の外に目を向けると、そこには存在しないはずの古びた駅のホームがぼんやりと現れていた。
ホームには、昭和の服装をした人々が静かに立っている。
そして、誰かがこちらを見つめている。
彼らは口を動かしていた。
「助けて……」
次の瞬間、景色は元に戻った。
時間は7時48分を過ぎ、電車は何事もなかったように進んでいた。
誰も何も覚えていない。
ただ、悠斗のスマホのアラームだけが、7時48分に鳴り続けていた。
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