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時空の裂け目──駅のホームで見たもう一つの世界 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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奇妙な駅のホーム

その日、俺はいつものように電車に乗るため、家の最寄り駅 に向かった。

駅は小さく、利用者も少ない。夕方になると、ホームにはほとんど人がいなくなる。

その日は仕事が長引き、終電間際の電車を待っていた。

時計を見ると 23時57分。

「ギリギリだな…」

電車は 0時ちょうど に来るはずだった。

だが、その時——

カタン…

遠くから聞こえたことのない音がした。

線路の向こう側。

視線を向けると、見たことのない階段 があった。

そんなもの、今まであったか?

もう一つのホーム

階段は、線路の向こうに続いているようだった。

「……何だ、あれ?」

吸い寄せられるように、階段を登った。

階段の先には、もう一つのプラットフォームがあった。

だが——

そこには誰もいなかった。

駅の照明は古びていて、壁のポスターは色褪せ、ベンチには埃が積もっていた。

まるで 何十年も前に使われていたかのような雰囲気 だった。

「ここ…使われてないのか?」

不思議に思いながら、時刻表を確認した。

そこには 見慣れない時間が書かれていた。

『昭和45年 0時07分発』

「昭和45年…?」

それは、俺が生まれるずっと前の年 だった。

来るはずのない電車

「これは、何かのいたずらか?」

そう思ってスマホを取り出した。

しかし、圏外だった。

「……なんだこれ。」

不安になり、元のホームに戻ろうとした。

だが、さっきの 階段が消えていた。

階段の先には、俺がいたはずのホームがある。

しかし、そこに階段はなかった。

俺は急に怖くなり、戻る方法を探した。

その時——

カタン、カタン…

遠くから、電車が近づく音がした。

俺は反射的にホームから一歩下がった。

闇の中から、古い型の電車がゆっくりと姿を現した。

車体は 昭和時代のデザイン で、見たことのない会社のロゴが刻まれていた。

電車はゆっくりと停車し、ドアが開く。

中を覗くと、乗客が座っていた。

だが——

みんな、顔がない。

「次は、君の番だよ。」

乗客たちは、影のように黒く滲んでいた。

表情がないのに、何かがこちらを見ている のが分かった。

「……乗らなきゃいけないのか?」

そんな考えが頭をよぎった時、車内の奥から 誰かが降りてきた。

それは、俺だった。

俺と同じ服、同じ髪型の男が、ゆっくりとこちらに近づいてきた。

「次は、君の番だよ。」

そう言うと、彼は 俺の腕を掴んだ。

その瞬間——

視界が真っ暗になった。

元に戻ったはずなのに

気づくと、俺は元のホームに立っていた。

駅の時計は 23時59分 を指している。

「……夢?」

そんなはずはない。

全身に冷や汗をかいていたし、腕には 誰かに掴まれた跡 が残っていた。

震える手でスマホを取り出し、駅の歴史を調べた。

すると——

『1970年(昭和45年)、当駅の旧2番ホームは事故により廃止された』

……昭和45年?

0時07分発の電車は、事故で消えたホームの時刻表 だったのか?

そう思った瞬間、背後で電車の到着音が鳴った。

俺は思わず振り返った。

そこには、いつもの終電が停まっていた。

……しかし、車窓に映った俺の顔が、なぜかぼんやりと滲んでいた。



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