目次
序章:深夜の帰り道
大学生の 佐藤直哉(さとう・なおや) は、深夜にアルバイトを終え、アパートへと帰る途中だった。
時間は午前2時。
人気(ひとけ)のない住宅街の道を、自転車でゆっくりと走る。
「……寒いな。」
秋も深まり、夜の冷気が肌に刺さるようだった。
コンビニで買ったコーヒーを片手に、ふと小さな公園の前で足を止めた。
—— 誰かがいる。
ブランコの上に、 小さな子どもが座っていた。
「こんな時間に?」
直哉は不審に思ったが、関わるのも面倒だと思い、そのまま通り過ぎようとした。
その時——
ブランコが、ギィ……ギィ……と音を立てて揺れ始めた。
子どもは、じっと直哉を見ていた。
顔は暗くてよく見えない。
しかし—— その目だけが、異様に光っていた。
「……っ!」
ゾクリと背筋が凍る。
直哉は、そのままペダルを踏み込んで、公園を通り過ぎた。
だが、それが“追われる恐怖”の始まりだった。
第一章:足音
「……気のせいだよな?」
自転車を漕ぎながら、直哉は後ろを振り返る。
誰もいない。
安心したのも束の間——
パタ……パタ……
遠くから、裸足のような 足音 が聞こえた。
(……後ろか!?)
直哉は振り返った。
—— 公園のブランコにいたはずの“子ども”が、こちらに向かって走ってくる。
だが、おかしい。
その動きは 普通の子どもとは違っていた。
腕や足が、まるで関節が外れたかのように 不自然な動きをしている。
「……なに、あれ……?」
直哉の心臓が高鳴る。
さらに、よく見ると——
—— “子ども”の足が地面についていない。
浮いているのだ。
「……っ!!」
恐怖が一気に襲いかかる。
直哉は全力でペダルを踏んだ。
しかし——
足音はどんどん近づいてくる。
第二章:追いかけてくるもの
「やばい……やばい……!!」
直哉は全速力で走る。
コンビニの明かりが見えた。
「あそこまで行けば……!」
だが、足音は止まらない。
そして——
—— ヒタッ。
急に、足音が消えた。
「……?」
不審に思い、直哉は自転車を止め、息を整える。
背後を恐る恐る振り返ると——
誰もいない。
「……気のせいだった?」
安堵し、再びペダルを漕ごうとした瞬間——
「みつけた」
直哉の耳元で、小さな声が囁いた。
「うわぁぁぁ!!」
反射的に飛びのき、周囲を見渡す。
だが、やはり 誰もいない。
「……なんなんだよ……」
震える手でスマホを取り出し、カメラを起動して後ろを映した。
画面には——
—— コンビニの明かりの下、こちらをじっと見つめる“子ども”の姿が映っていた。
だが、その顔は——
目も鼻も口もない、真っ白な顔だった。
第三章:消えない恐怖
直哉は、そのままコンビニへと駆け込んだ。
店内には店員と数人の客がいる。
「はぁ……はぁ……っ……!」
「大丈夫ですか?」
店員に声をかけられ、ようやく少し落ち着いた。
「すみません……ちょっと、変なものが……」
言いかけて、ふと店のガラス窓を見た。
そこには、白い顔の“子ども”が映っていた。
ニタリと口が裂けるように歪み、
「まだ、終わらないよ。」
そう言った瞬間——
—— バチンッ!!
店の明かりが一瞬消え、次に点いた時には、もう“子ども”はいなかった。
「……なんだったんだ……?」
震えながらスマホを確認すると、カメラの履歴に 無数のブレた写真 が残っていた。
どれも、何かがこちらに向かって走ってくるような写真だった。
そして、最後の写真には——
直哉の背後に、小さな手が伸びていた。
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