目次
序章：肝試しの計画
「おい、マジで行くのかよ？」
大学生の 藤井亮介（ふじい・りょうすけ） は、後輩の 山下（やました） に念を押した。
「当たり前っすよ！ 廃ホテルって、ヤバいって噂ですよね？」
「まあな……。」
亮介たちが向かおうとしているのは、山奥にある廃ホテル。
かつて温泉宿として栄えていたが、火事で一部が焼け落ち、いつしか 心霊スポット として有名になった場所だった。
「子どもの霊が出るって話、聞いたことあります？」
「いや……。」
「昔、ここで家族旅行に来てた子どもが、火事で逃げ遅れて——それ以来、夜中に入ると“子どもに追いかけられる”らしいっす。」
「そんな話、後からするなよ……。」
亮介は嫌な予感を覚えながらも、車を走らせた。
第一章：廃ホテルの中へ
ホテルに到着すると、そこは 想像以上に不気味な場所 だった。
外壁はひび割れ、窓ガラスは割れ、廃墟特有の 湿った臭い が漂っている。
「うわ、マジでヤバそう。」
「とりあえず、中入ってみましょう！」
山下がライトを照らしながら、館内へ足を踏み入れた。
ロビーには、埃をかぶったソファや受付カウンターがそのまま残っている。
「本当に時間が止まったみたいだな……。」
奥へ進むと、大広間のような場所に出た。
焦げた跡があり、天井は崩れかけている。
「……ん？」
亮介は、部屋の隅に 何かがあること に気づいた。
「おい、あれ見ろ。」
そこには、ボロボロの 赤い三輪車 が置かれていた。
「子どもがいたって噂、マジなんすかね……？」
山下がそう言った直後——
—— ギィ……ギィ……
三輪車が、ゆっくりと動いた。
第二章：子どものようなもの
「……風？」
だが、窓は閉まっているし、風が吹くはずがない。
すると、奥の廊下の先から——
「……あそぼ？」
—— 小さな声が聞こえた。
「おい、今の……！」
山下が顔を青ざめさせる。
「……誰かいるのか？」
亮介が震える声で呼びかけると、廊下の奥から 小さな影 が現れた。
それは 子どものようなもの だった。
しかし—— 明らかにおかしい。
動きが不自然すぎる。
足は地面から少し浮いており、首が カクカクと異常な角度 で傾いている。
「あそぼ……」
—— ドンッ！！
影が 四つん這い になり、一瞬でこちらへ向かって走り出した。
「うわぁぁぁ！！」
二人はパニックになり、必死に逃げる。
しかし、出口は遠い。
後ろから、高速で追いかけてくる気配 がする。
「こっちだ！！」
亮介は山下の腕を引っ張り、非常階段へ飛び込んだ。
しかし——
階段の下から もう一つの影 が這い上がってきた。
それは 顔が白く塗りつぶされた子ども だった。
—— 「つかまえた」
第三章：廃ホテルの外へ
「やばい！！ こっちだ！！」
亮介は山下を引きずるように、非常口へと走った。
ドアを蹴破り、外へ飛び出す。
—— シン……
一歩、外へ出ると すべての音が消えた。
後ろを振り向くと——
—— 廃ホテルは跡形もなく消えていた。
「……え？」
確かに今までホテルの中を走り回っていたはずなのに。
「山下……？」
隣を見ると、山下の姿がない。
「おい、どこ行った……？」
スマホを取り出して連絡をしようとしたが、通話履歴には 最初から山下の名前がなかった。
「そんなはず……。」
車に戻り、慌ててエンジンをかける。
しかし、ルームミラーを見た瞬間——
—— 後部座席に、白い顔の子どもが座っていた。
■おすすめ
マンガ無料立ち読み
1冊115円のDMMコミックレンタル！
人気の漫画が32000冊以上読み放題【スキマ】
人気コミック絶賛発売中！【DMMブックス】
ロリポップ！
ムームーサーバー
新作続々追加！オーディオブック聴くなら - audiobook.jp
 | 新品価格 |
 |
 | ページをめくってゾッとする 1分で読める怖い話 [ 池田書店編集部 ] 価格:1078円 |
