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【消える交差点】深夜0時に渡った者の末路 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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序章:奇妙な事故現場

会社員の 森田翔太(もりた・しょうた) は、ある夜、奇妙な噂を聞いた。

「この街には、“消える交差点”があるらしい」

「なんだそれ?」

飲み会の帰り道、同僚の 片桐(かたぎり) がそう切り出した。

「深夜0時、信号が青になった瞬間に渡ると、二度と帰ってこれなくなるんだってさ。」

「怖い話か?」

「まあな。でも実際、あの交差点ではよく行方不明者が出てるらしいぞ。」

片桐が指差したのは、駅前から少し離れた場所にある 古びた交差点 だった。

特に変わった様子はない。

「バカバカしい。」

森田は笑って流したが、その夜—— どうしてもその話が頭から離れなかった。

第一章:0時の交差点

翌日、残業を終えた森田は、例の交差点を通ることになった。

ふと時計を見ると、ちょうど 23:58。

(……くだらない噂だったな。)

そう思いながら信号を待つ。

やがて、時計が 0:00 を示した瞬間——

カチッ

信号が青に変わる。

森田は何気なく足を踏み出した。

しかし——

視界が一瞬、暗転した。

「……?」

気づくと、周囲の景色が変わっていた。

さっきまで明るかったはずの街灯がすべて消え、周囲は異様な静けさに包まれていた。

遠くに見えるはずのビル群も、すべて闇に沈んでいる。

まるで——

この世界に、自分しかいないかのようだった。

第二章:見えない何か

「……なんだ、これ?」

スマホを取り出してみるが、圏外になっている。

「カツ……カツ……」

遠くで、微かな足音が聞こえた。

「誰かいるのか?」

返事はない。

しかし、確かに 何か が近づいてくる音がする。

暗闇の向こう、交差点の先に目を凝らすと——

“人影”が立っていた。

しかし、その影は おかしい。

—— 揺れている。

まるで、映像が乱れたように、人影の輪郭が不自然にブレているのだ。

「……っ!」

森田は反射的に後ずさった。

その瞬間——

「おかえり……」

どこからともなく、かすれた声が響いた。

「また、一緒に渡ろう?」

影がゆっくりと近づいてくる。

その顔が、ようやくはっきりと見えた。

—— 自分と、全く同じ顔をしていた。

第三章:戻れない世界

「……誰だ、お前!?」

森田は必死に後ずさる。

しかし、その影は 口元だけをゆっくりと動かしながら こう言った。

「渡った者は、戻れないんだよ。」

次の瞬間、視界がぐにゃりと歪み——

森田は、再び交差点に立っていた。

「……え?」

時計を見ると、まだ0:00を過ぎたばかり。

「……夢?」

何もなかったかのように、街は元の姿に戻っていた。

しかし、胸騒ぎが収まらない。

その時、スマホが震えた。

—— 【着信:森田翔太】

「……は?」

自分の番号から、自分に電話がかかってきている。

恐る恐る応答ボタンを押すと——

「今度は、お前が“迎える側”だよ。」



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