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廃ホテルの最上階——泊まってはいけない部屋 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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友人の田中が、「面白い場所がある」と言い出したのは夏休みのことだった。

「山奥に廃ホテルがあるんだけどさ、そこに"泊まると出られなくなる部屋"があるらしいんだよ」

「お前、そういうの好きだよな?」

田中の誘いに乗った俺たち4人は、好奇心半分でその廃ホテルへ向かうことになった。

だが——あの時の俺はまだ知らなかった。

そこが、今も"営業している"場所だということを。

廃ホテルの異変

目的のホテルは、山奥にひっそりと佇んでいた。

古びた看板には、かすれた文字で「〇〇ホテル」と書かれている。

「もう何年も放置されてるらしいけど……意外と綺麗じゃね?」

廃墟にしては荒れた様子がなく、ガラスも割れていない。

むしろ——

今でも誰かが管理しているように見えた。

俺たちは懐中電灯を手に持ち、ホテルの中へ入った。

「泊まっていくんですか?」

ロビーに入ると、埃っぽい匂いが鼻を突いた。

フロントデスクには古びたベルが置かれている。

田中が冗談半分にベルを鳴らした。

「チン……」

すると——

「お客様、ご宿泊ですか?」

背後から声がした。

俺たちは全員、息を呑んだ。

振り向くと、そこにはホテルの制服を着た男が立っていた。

真っ白な顔。

無表情。

そして、異様なほど静かに立っている。

「……え? ここ、廃墟じゃ?」

俺がそう言うと、男は無言でカウンターの裏からルームキーを取り出した。

「最上階の特別室へどうぞ」

俺たちは、動くに動けなかった。

だが、田中が突然、鍵を受け取ってしまった。

「……せっかくだし、行ってみようぜ」

そして——俺たちは最上階へと向かった。

特別室 801号室

エレベーターは驚くほど静かに動いた。

最上階に着くと、廊下は異様なほど長く、薄暗かった。

「本当に泊まるつもりなのか……?」

不安を感じながらも、田中が鍵を差し込む。

ガチャリ。

ドアが開いた瞬間、ひんやりとした空気が流れ込んだ。

部屋は異様なほど綺麗だった。

まるで、ついさっきまで誰かが泊まっていたかのように——。

「おい、ベッドもちゃんと整ってるぞ」

田中がベッドを指さす。

確かにシーツはピンと張られ、枕も整えられている。

しかし——

シーツの上に、何かが書かれていた。

そこには、黒い文字でこう書かれていた。

「この部屋に泊まってはいけない」

「早く出ろ」

「……やばくね?」

俺たちは慌てて部屋を出ようとした。

しかし——

ドアが開かない。

「おい、鍵! 田中、鍵どこだ!?」

「ポケットに入れたはずなのに……ない!!」

その時——

チリリリリ。

突然、部屋の電話が鳴った。

「……出るなよ」

俺がそう言うよりも早く、田中が受話器を取った。

「……もしもし?」

すると、受話器の向こうから——

「今すぐ出ろ」

低い男の声が響いた。

「だから出たいんだよ!! でも鍵が——」

「違う……今、お前たちの"後ろ"にいる……」

「え?」

田中が振り向いた瞬間——

バンッ!!

突然、部屋の電気が消えた。

消えた田中

真っ暗な部屋の中で、俺たちは必死にドアを叩いた。

「誰か! 開けてくれ!!」

しかし、何の反応もない。

すると——

「田中……?」

誰かが田中の名前を呼んだ。

だが、それは俺たちの声ではなかった。

別の誰かが、暗闇の中で田中を呼んでいた。

「……お前、誰だ?」

その瞬間——

電気がパッとついた。

そして——

田中が消えていた。

「田中!? どこ行った!?」

俺たちは部屋を探し回った。

だが、どこにもいない。

まるで、最初からこの部屋にいなかったかのように——。

その時、俺の目に飛び込んできたものがある。

さっきまで白かったシーツに、新たな文字が書かれていた。

「次の宿泊者が来るまで、ここで待っていろ」

最後のエレベーター

俺たちはパニックになりながらも、ようやくドアを開けることに成功した。

エレベーターに飛び乗り、必死に1階のボタンを押す。

しかし——

「……おい、なんで?」

エレベーターは最上階から動かなかった。

そして、エレベーターのスピーカーから、静かなアナウンスが流れた。

「ご宿泊ありがとうございます。次のお客様がいらっしゃるまで、しばらくお待ちください」

俺たちは震えながら、エレベーターのドアが開くのを待った。

やがて、扉が開くと田中が立っていた。

ただし——

田中の顔がなかった。

私達は慌ててホテルから逃げ出した。

いまだ田中は見つかっていない。

あのホテルにいるかもと思うが、再びホテルへ行く勇気はない。



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