目次
廃井戸の噂
地元の山奥に、絶対に近づいてはいけない廃井戸 がある。
昔、この村で疫病が流行ったとき、病にかかった子どもたちがこの井戸に捨てられたという。
「だから、夜になると井戸から“子ども”が出てくるんだよ。」
子どもの霊が遊び相手を探して 村の中をさまよう のだという。
ただの噂だと思っていたが、ある日、俺たちはその井戸に行くことになった。
井戸を覗いた夜
肝試しに参加したのは、俺・カズキ・ユウタの三人。
夜中に山を登り、問題の井戸の前に立った。
「……これが噂の廃井戸か。」
井戸はボロボロで、木の蓋が半分崩れている。
「覗いてみるか?」
カズキが冗談めかして言うと、ユウタがスマホのライトを向けた。
そして——
井戸の奥から、何かがこちらを見ていた。
「……え?」
小さな 子どもの顔 が、井戸の闇の中から覗いている。
しかし、それは じっとしていたわけではなかった。
次の瞬間——
ヒュッ
その“子ども”は ものすごい速さで井戸の壁を這い上がってきた。
追いかけてくるもの
「逃げろ!!!」
俺たちは一目散に山を駆け下りた。
だが、後ろから チョキチョキ という奇妙な音が聞こえてくる。
振り向くと、さっきの“子ども”が 四つん這いで追いかけてきていた。
しかも、その姿が異様だった。
手足が細すぎる。
皮膚は干からび、目は黒い穴のようにぽっかりと開いていた。
「ひぃっ……!」
恐怖で足がもつれそうになりながらも、必死で逃げた。
神社の結界
「もう無理……!」
そう思った時、突然 鳥居 が目の前に現れた。
「ここ、神社か!?」
村のはずれにある 小さな祠(ほこら) だった。
「入れ!!」
俺たちは祠の前に転がり込んだ。
その瞬間——
追いかけてきた“子ども”が、ピタリと動きを止めた。
まるで、神社の 結界 に阻まれているかのように、鳥居の外で立ちすくんでいる。
「……来ない?」
俺たちは、恐る恐る様子をうかがった。
すると、“子ども”は ゆっくりと指を動かし始めた。
それは 「おいでおいで」 の仕草だった。
……誘っている。
怨霊退散
「……あれ、本当に子どもなのか?」
「いや、もう 別のもの になってる……。」
その時、祠の中から カラカラと鈴の音 が聞こえた。
そして——
「怨霊退散。ここより先、通るを許さず。」
突然、低く響く声がした。
誰のものか分からなかった。
しかし、次の瞬間、子どもの形をした“何か”が、まるで弾かれたように 消えた。
……あとには、静寂だけが残った。
その後
俺たちはその後、必死で村へ逃げ帰った。
翌日、村の長老に話すと、彼は静かに言った。
「あの井戸は……捨てられた子どもたちの恨みが溜まっている場所じゃ。」
「でも、神社のおかげで助かったんですね……?」
「……いや。」
長老はしばらく沈黙した後、こう言った。
「あの神社は、とっくに廃れていてな……もう誰も祀ってはおらんのじゃよ。」
「……え?」
では、俺たちを救った あの声 は——?
今も答えは分からない。
ただ、一つだけ確かなことがある。
俺たちは、もう二度と あの井戸には近づかない。
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