目次
深夜の交差点
会社の残業を終え、俺は疲れ切った体を引きずるようにして帰路についていた。
時刻は 午前2時過ぎ。
人通りのない夜道を歩きながら、ふと気づいた。
この交差点、やけに静かだ。
俺が毎日通る四つ角の交差点。普段は夜でも車が通るのに、今日はまるで音が消えたように静まり返っていた。
気味が悪くなり、足早に渡ろうとしたその時——
「……ねぇ。」
突然、後ろから小さな声が聞こえた。
驚いて振り向くと、交差点の向こう側に 女が立っていた。
交差点に立つ女
街灯に照らされたその女は、白いワンピースを着て、長い髪で顔が隠れている。
不自然なくらい動かず、ただじっと立っていた。
(こんな時間に……?)
不審に思いながらも、俺は歩き出した。
しかし、交差点を渡る直前——
「ねぇ……こっち、見てよ。」
背筋が凍った。
確かに 俺に向かって話しかけている。
なのに、女は微動だにしない。
それどころか、口すら動いていなかった。
——なのに、声だけが響いている。
目を合わせてはいけない
ヤバい。
本能的にそう感じた。
何かが “普通じゃない”。
「こっち、見てよ……。」
女の声はどこか悲しげで、甘い響きがあった。
それでも、絶対に目を合わせてはいけない という確信があった。
俺は無視して歩き出した。
その瞬間——
「……なんで、見てくれないの?」
背後から 足音が聞こえた。
女が……こちらに 近づいてきている。
でも、振り向くのは 絶対にダメだ。
俺は心臓をバクバクさせながら、早歩きで交差点を渡った。
そして、信号を過ぎたところで、一気に走り出した。
そして、翌日
翌朝、会社に向かう途中、俺は昨日の交差点を通った。
しかし、夜の異様な雰囲気はなく、ただの普通の交差点だった。
(……やっぱり疲れてただけか?)
そう思いながら信号待ちをしていると、隣にいた会社の先輩がふと呟いた。
「……この交差点さ、深夜に女が立ってることがあるらしいぜ。」
「……え?」
「で、そいつと 目が合うと ……しばらくしてから、いなくなるんだってさ。」
「いなくなる……?」
先輩は、じっと俺を見つめて言った。
「目を合わせた人が、だよ。」
俺は、息を呑んだ。
そして、昨夜のことを思い出した。
もし、あの時俺が——
振り向いてしまっていたら……?
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