目次
おまじない好きの友達
私の親友、ゆかちゃんはおまじないが大好きだった。
「消しゴムに好きな人の名前を書いて最後まで使うと両思いになる」
「赤い糸を指に巻いて寝ると、未来の結婚相手が夢に出る」
そんな話をいつも教えてくれて、私は半信半疑ながらも一緒に試していた。
でも、ある日——ゆかちゃんは「特別なおまじない」を見つけたと言った。
学校で試す「願いが叶うおまじない」
「ねえ、のぞみちゃん。このおまじない、本当にすごいんだよ」
ゆかちゃんが見せてきたのは、古びたノートの切れ端だった。
そこには、こう書かれていた。
「願いが必ず叶うおまじない」
① 教室の黒板に小さな三角形を描く
② その三角の真ん中に、自分の願いを書き込む
③ 願いを書いたら、誰にも見られないように消す
④ 叶うまで、そのことを誰にも話してはいけない
「これね、やったら本当に叶うんだって!」
私はちょっとドキドキしながら聞いた。
「でも、そんなにすごいなら、みんなやってるんじゃない?」
ゆかちゃんは少しだけ困った顔をした。
「……でもね、書いた願いを消さなかった子がいると、その子が消えちゃうんだって」
私は笑って「怖い話みたい」と言ったが、ゆかちゃんは真剣だった。
「ねえ、一緒にやろうよ!」
私は少し迷ったけど、面白そうだからやってみることにした。
叶った願い
次の日の放課後、私たちは誰もいない教室でおまじないを試した。
私は「明日の体育の50m走で一番になれますように」と書いた。
ゆかちゃんは、何を書いたのか教えてくれなかった。
願いを書いた後、黒板の三角形をちゃんと消して、私たちは帰った。
すると——翌日、本当に50m走で一番になった。
普段はそこまで足が速くないのに、まるで風が押してくれるみたいに軽かった。
「すごいね!」とゆかちゃんに言うと、彼女はニコッと笑った。
「でしょ? ちゃんと叶うんだよ!」
「ゆかちゃんの願いは叶った?」
ゆかちゃんは少し考えてから、うなずいた。
「うん……たぶん」
何をお願いしたのかは、結局教えてくれなかった。
ゆかちゃんが消えた日
それから数日後——ゆかちゃんが学校に来なくなった。
先生に聞くと、「体調が悪くてお休みしてる」と言われた。
でも、その次の日も、そのまた次の日も来なかった。
心配になって家に電話したけど、ずっと留守だった。
不安になった私は、あることを思い出した。
——おまじないの三角形、ちゃんと消したっけ?
急いで放課後の教室に向かい、黒板を見た。
そこには、ゆかちゃんが書いた三角形の跡がうっすらと残っていた。
私は震えながらチョークでなぞった。
そして、その三角の中に——
「ゆかちゃんがいなくなりますように」
と、かすれた文字が書かれていた。
私は息を呑み、すぐに黒板消しでそれを消した。
でも、それ以来——
ゆかちゃんは二度と学校に戻らなかった。
先生も、クラスメイトも、誰もゆかちゃんのことを話さなくなった。
まるで、最初からいなかったみたいに。
消えたおまじない
私は何度もおまじないのことを調べようとした。
でも、あの時ゆかちゃんが持っていた古いノートの切れ端は、どこにも見つからなかった。
ネットで検索しても、「願いが叶うおまじない」なんて出てこない。
私は今でも考える。
ゆかちゃんは、誰かを消したかったのか?
それとも——誰かに消されたのか?
ただ、一つだけ確かなことがある。
おまじないは、簡単に試してはいけない。
叶った願いの代償が、何なのかはわからないのだから。
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