目次
序章:古いノート
「なあ、これ見てみろよ。」
高校生の 斉藤悠真(さいとう・ゆうま) は、放課後の図書室で、友人の 岡田(おかだ) に声をかけた。
手に持っていたのは、図書室の隅で埃をかぶっていた 古いノート だった。
表紙には、黒いインクで 「おまじない帳」 と書かれている。
「なんだこれ?」
岡田がノートをめくると、そこにはびっしりと 様々なおまじない が書かれていた。
《好きな人の気持ちがわかるおまじない》
《テストで満点を取れるおまじない》
《消えたい時のおまじない》
「……なんか、よくあるやつだな。」
「だよな。でもさ、最後のページが気になるんだよ。」
悠真がそう言って開いた最後のページには——
《本当の自分になれるおまじない》
その下に、不気味な一文が添えられていた。
「※このおまじないは、決して夜に唱えてはいけません」
「……なんか、怖くね?」
「バカバカしい。やってみるか?」
岡田は笑いながら、ノートに書かれているおまじないの呪文を唱えた。
「ネムルモノ、メザメヨ……」
その瞬間——
—— スー……
図書室の中の空気が、一瞬だけ重くなったような気がした。
「……え?」
悠真と岡田は顔を見合わせた。
何も起こらない。
「なーんだ、やっぱりガセか。」
そう言って、二人はその日は帰宅した。
しかし、その夜から—— 奇妙な変化 が起こり始める。
第一章:違和感
翌朝、悠真が学校へ行くと、クラスの雰囲気が何かおかしかった。
みんなの視線が、どこか 冷たい。
「おはよう。」
隣の席の 小林(こばやし) に話しかけるが、彼は一瞬不思議そうな顔をした。
「……誰?」
「え?」
「ごめん、誰だっけ? 転校生?」
「いや、俺、斉藤だけど?」
「……斉藤?」
悠真はゾッとした。
「おい、岡田。」
急いで岡田の席に向かうと、彼はスマホをいじっていた。
「お前、昨日のおまじない、覚えてるか?」
「……何の話?」
「は?」
「お前、誰?」
岡田は、心底不思議そうな顔をしていた。
「おい、ふざけんなよ。」
しかし、岡田だけではなかった。
クラスメイト全員が、悠真のことを知らないと言うのだ。
まるで——
—— 悠真という存在が、最初からなかったかのように。
第二章:もう一人の“俺”
不安になった悠真は、スマホを確認した。
しかし、そこには 自分の名前の連絡先が消えていた。
さらに、SNSのアカウントにログインしようとすると——
「このアカウントは存在しません」
「……何が起きてるんだ?」
混乱しながらも、悠真は 家へ帰ろうとした。
しかし、家の前に着いた時、信じられない光景が目に飛び込んできた。
—— 家の中に、“自分”がいる。
「……なんで、俺がいるんだ?」
家の窓から、自分そっくりの男がリビングでくつろいでいるのが見える。
母親も、父親も、普通にその“俺”と話している。
まるで、最初から“そっち”が本物だったかのように。
悠真は、ようやく気づいた。
「本当の自分になれるおまじない」
—— それは、「偽物の自分」と入れ替わる儀式 だったのではないか?
「おい……俺の家から出ろ……!」
ドアを開けようとするが、鍵がかかっている。
すると、家の中の“悠真”が、ふと窓の外の自分に気づいた。
—— ニタリと笑った。
そして、口の動きだけで、こう言った。
「もう遅いよ。」
エピローグ:誰も知らない存在
悠真は家に入ることもできず、学校に戻ることもできず、どこへ行けばいいのか分からなくなった。
そして、その夜、彼はもう一度 図書室のおまじない帳 を探しに行った。
しかし——
そのノートは、どこにもなかった。
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