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救命士が見た“助けてはいけない人” 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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深夜の119番

俺は救命士として働いている。

この仕事をしていると、時々 説明のつかない出来事 に遭遇する。

その夜も、深夜2時を回った頃に奇妙な119番通報 が入った。

「……たすけて……おねがい……」

女性のかすれた声。

場所は、郊外の廃墟になった団地の一角。

すぐに救急車を出動させた。

だが、俺は知らなかった。

「助けてはいけない人」がいることを。

誰もいない現場

現場に到着すると、そこは噂通りの完全な廃墟だった。

長い間使われていないらしく、外壁はボロボロで窓ガラスも割れている。

「こんなところに、誰か住んでるのか?」

相棒の田中も訝しげな顔をしていた。

懐中電灯を頼りに団地の入り口を探し、階段を上がる。

2階の廊下に差し掛かったとき——

ガタンッ!

「……誰かいるのか?」

しかし、周囲には誰もいない。

気のせいかと思いながら、通報のあった203号室へ向かった。

扉の向こう

ドアは古びていて、赤黒いシミがこびりついていた。

ノックすると、かすかに声が聞こえた。

「……たすけて……」

俺たちは顔を見合わせ、すぐに扉を押し開けた。

しかし、部屋の中は空っぽだった。

家具もない。ゴミすら落ちていない。

誰かが住んでいた形跡は、どこにもなかった。

「おかしいな……さっきの声、どこから?」

その時だった。

背後から、ガクン、と肩をつかまれた。

「たすけて」

驚いて振り向くと——

目の前に、ボロボロの服を着た女が立っていた。

顔は痩せこけ、目の周りは真っ黒。

まるで、何年もここに閉じ込められていたような姿だった。

「たすけて……」

女は、ゆっくりと俺の手を掴んできた。

その手は、異常なほど冷たかった。

「……大丈夫ですか?」

反射的にそう言いかけた瞬間——

田中が、俺の腕を思い切り引っ張った。

「おい、やめろ!!!」

「えっ?」

「いいから、外に出るぞ!!」

田中は半ば引きずるように俺を部屋の外に連れ出し、ドアを乱暴に閉めた。

「お前……今、何と話してた?」

「え? 助けを求めてる女の人が——」

「……何も、いなかったぞ。」

田中の顔が青ざめていた。

「お前、誰と話してたんだ?」

俺は、ぞっとした。

救命できない人

その後、警察と消防が調査したが、203号室には誰もいなかった。

だが、俺は確かに見た。

あの女が、「たすけて」と言ったことも。

後日、俺は団地の過去を調べた。

そして、ある記事を見つけた。

『十年前、203号室で一人暮らしの女性が病死していた。誰にも発見されず、腐乱した状態で見つかったという。』

あの日、俺が出動した通報記録を確認すると——

119番通報は、発信元不明になっていた。

俺は思った。

「もしかして、あの女は……今も助けを待っているのか?」

しかし、救命士としての俺は知っている。

この世には、「救命できない人間」もいるのだ。



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