怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

「告知事項あり物件──その部屋に残る気配」 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

投稿日:

序章──異常に安い物件

社会人2年目の田中悠斗は、転職を機に新しい部屋を探していた。

「駅徒歩5分、家賃5万円……?」

都内でこの条件は異常に安い。

不動産サイトの物件詳細には「告知事項あり」と書かれていたが、詳しい内容は記載されていなかった。

「……まぁ、告知事項ってことは、何かあったんだろうけど」

興味を持った悠斗は、不動産会社へ問い合わせてみることにした。

第一章──告知事項の説明

翌日、不動産会社を訪れた悠斗は、担当者と向かい合って座っていた。

担当者は契約書を開き、申し訳なさそうに切り出した。

「こちらの物件ですが……事前にお伝えしておくべきことがあります」

「告知事項ですよね?」

「……はい」

担当者は少し言いづらそうに口を開く。

「実は、2年前にこの部屋で男性が亡くなっています」

「……事故ですか?」

「……孤独死です」

悠斗は少し息を飲んだ。

「亡くなったのは50代の男性でして、約1ヶ月ほど発見されませんでした。その間、ご遺体の腐敗が進行してしまい……特殊清掃が入りました」

「それで家賃が安いと……」

「はい。ただ、清掃も済んでおり、臭いの問題もありません。現状、生活に支障はないはずです」

悠斗は少し考えた。

「……まぁ、気にしないので契約します」

担当者はホッとした表情を浮かべ、契約手続きを進めた。

しかし悠斗はまだ知らなかった。

この部屋には、説明されていない“もう一つの理由”があることを──。

第二章──感じる違和感

引っ越し初日。

荷物を整理し終え、悠斗はリビングで一息ついていた。

「……まぁ、普通の部屋だよな」

特に異臭もせず、清潔に保たれている。

だが、その夜から違和感を覚え始めた。

リビングでテレビを見ていると、背後から視線を感じる。

「……?」

誰もいないはずの玄関の方を振り返るが、もちろん誰もいない。

気のせいだと思い、シャワーを浴びることにした。

浴室で髪を洗っていると、背後からカサ……カサ……という微かな音が聞こえた。

「……水滴の音だろ」

気のせいだと自分に言い聞かせ、就寝することにした。

しかし、深夜2時頃。

ガチャ……ガチャ……

「……え?」

玄関のドアノブが、誰かに回されている音がした。

慌てて飛び起き、ドアスコープを覗く。

──誰もいない。

「……マジかよ」

不安になりつつも、その日はなんとか眠りについた。

だが翌朝、玄関の内側に置いていた靴が、微妙に動いていることに気づいた。

「……まさか、風か?」

だが、玄関の扉はしっかり閉まっていた。

第三章──もう一つの告知事項

気味の悪さを感じた悠斗は、翌日不動産会社へ電話をかけた。

「すみません、ちょっとお聞きしたいことがありまして……」

「はい、どうされましたか?」

「実は昨日の夜から、玄関のドアノブが勝手に動いたり、靴が移動していたりするんです。そういうこと、過去にもありました?」

担当者の声が、急に詰まる。

「……え?」

「もしかして、他にも何かあったんじゃないですか?」

しばらく沈黙が続いた後、担当者は絞り出すように言った。

「……実は、もう一つ告知しなければならなかったことがあります」

「は?」

「最初に孤独死された方……その後、入居した次の方も行方不明になっているんです」

「行方不明?」

「はい。その方は契約から1ヶ月後、突然姿を消しました。警察が調べたところ、室内に争った形跡はなく、遺留品だけが残っていたんです」

「……え?」

「その時から、玄関のドアノブが勝手に動いたり、靴が移動する現象が報告されていました」

「ふざけんなよ……なんでそれ最初に言わなかったんですか?」

「心理的瑕疵(しんりてきかし)の部分だけ伝えれば契約上は問題ないので……本当に申し訳ありません」

「ふざけんな!!」

その瞬間、電話の向こうから「ガチャ……ガチャ……」という音が聞こえた。

「あの……そちら、今誰かいます?」

「いえ、誰もいませんが」

「いや、今ドアノブの音が──」

「ガチャガチャガチャ!!」

電話の向こうで、明らかに誰かがドアを開けようとしている音が響き渡った。

担当者は震える声で言った。

「……すぐに部屋から出てください……それが、また来ています……」

終章──告知されなかったもの

悠斗は恐怖で玄関に駆け寄ったが、ドアノブは異常に冷たく、回らなくなっていた。

「開けろ!!」

必死に力を込めると、玄関のドアが勢いよく開いた。

──しかし、外には誰もいなかった。

ただ、足元にボロボロの靴が転がっていた。

その靴は、行方不明になった前の住人のものだった。

悠斗は恐怖で震えながら、そのまま部屋を飛び出し、二度と戻らなかった。

後日、不動産会社に連絡すると、担当者は申し訳なさそうに言った。

「……実は、あの部屋はまだ“誰か”がいる可能性があるんです」

「どういうことですか?」

「怨霊退散の祈祷もしましたが、効果はありませんでした」

そして、その物件は今も掲載されている。

──家賃5万円、告知事項あり。

次の入居者を、今も探している。



■おすすめ

マンガ無料立ち読み

1冊115円のDMMコミックレンタル!

人気の漫画が32000冊以上読み放題【スキマ】

人気コミック絶賛発売中!【DMMブックス】




ロリポップ!

ムームーサーバー


新作続々追加!オーディオブック聴くなら - audiobook.jp



世界の心霊写真 ~カメラがとらえた幽霊たち、その歴史と真偽

新品価格
¥3,080から
(2024/10/17 10:26時点)



ほんとうにあった怖い話「年上の彼女」



ページをめくってゾッとする 1分で読める怖い話 [ 池田書店編集部 ]

価格:1078円
(2024/7/23 13:25時点)
感想(1件)



-怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集
-, , , , , , ,

Copyright© 映画・ドラマ・本・怖い話・奇妙な話・不思議な話・短編・ガールズ戦士シリーズ・Girls2(ガールズガールズ)などの紹介・感想ブログです。 , 2025 All Rights Reserved Powered by STINGER.