怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

暗室の中で浮かび上がるもの 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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大学の写真部に所属している俺は、ある日の放課後、一人で暗室にこもることになった。

本来なら複数人で作業するのが決まりなのだが、先輩たちは用事があるらしく、俺一人に任された。

「まあ、現像くらい一人でも平気だろ」

軽い気持ちでフィルムを持ち込み、赤いセーフライトの灯る暗室に入った。

だが——あの日、現像液の中から"それ"が浮かび上がるとは思いもしなかった。

誰も撮ったはずのない写真

現像作業は順調だった。

撮影した写真を印画紙に焼き付け、現像液に浸す。

数十秒経つと、写真の輪郭が浮かび上がってくる。

1枚目は先輩たちと撮った集合写真。

2枚目は街中の風景。

そして3枚目——

「……ん?」

写真の端に、見覚えのない人影が写っていた。

屋外の写真ではなく、明らかに室内。

しかも、狭い部屋の中で、黒髪の女がじっとカメラを見つめている写真だった。

「……これ、いつ撮った?」

おかしい。

このフィルムは今日の朝、自分でカメラに詰めたものだ。

撮影した写真は全部覚えている。

こんな写真、撮った記憶は一切ない。

写真の中の女

次の写真を現像液に浸ける。

数秒後、白い印画紙に映像が浮かび上がる。

「……あ?」

そこに写っていたのは——

さっきの黒髪の女だった。

今度は俺が撮ったはずの街の風景に、明らかに不自然な形で女が立っている。

「おかしいだろ、これ……」

不安になり、次々と現像を続ける。

しかし、焼き付ける写真すべてにその女が写っているのだ。

公園のベンチ、駅前の広場、飲食店の前——

どの写真にも、必ず女が俺の方をじっと見つめている。

しかも、女の顔が写真ごとに近づいている気がした。

「……おかしい」

動悸が激しくなり、汗が滲む。

早く作業を終わらせて帰ろう。

そう思い、最後の写真を現像し始めた。

"暗室の中"の写真

最後の写真を現像液に浸した瞬間、全身が凍りついた。

そこに写っていたのは——

今まさに俺がいる"暗室の中"だった。

作業台、現像液、セーフライト……間違いなく今のこの場所だ。

しかし、写真の端に——

例の黒髪の女が立っている。

しかも、俺のすぐ背後で。

「……!!」

反射的に振り向く。

だが、誰もいない。

「……落ち着け、落ち着け……」

そう自分に言い聞かせ、震える手で写真を確認する。

だが、次の瞬間。

スー……

写真の中の女が、わずかに"首を傾けた"。

現像済みの写真の中で、だ。

「……嘘だろ」

目の錯覚かと思った。

だが、目を離してから再び見た時、女の顔はさらにこちらを向いていた。

暗室の外

叫びながら暗室のドアを開け、外へ飛び出した。

廊下は静まり返り、誰もいない。

「……なんだよ、あれ……」

あの女がなんなのか今もわかっていない。



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