目次
墓地の跡地に建てられたマンション
大学2年の夏、俺は友人の高橋から妙な話を聞いた。
「お前さ、あの新しくできたマンション、墓地の跡地だったの知ってるか?」
「は?マジで?」
高橋の言うマンションは、駅から少し離れた高台に最近建ったばかりの物件だ。
「元々あそこ、古い墓地があったんだけどさ、数年前に遺骨を全部移動して更地にしてるんだよ」
「へぇ……でも、今は普通にマンション建ってんじゃん」
「……まあな。でも、変な噂聞くぞ」
「どんな?」
高橋は少し声を落とした。
「たまに夜中、ベランダに人影が立ってんだと。
しかも、住人じゃなくて……誰か知らないやつがな」
「やめろよ、気味悪いな……」
「まぁ、俺も半信半疑だったけどさ……ある方法で確認したんだよ」
「方法?」
「双眼鏡でさ、そのマンションのベランダを夜中に覗くんだよ」
高橋はニヤリと笑いながら言った。
「……俺、昨日の夜それやったんだよ。
そしたらさ……マジで"いた"わ」
双眼鏡で見えたもの
翌日、俺は好奇心に負け、高橋と一緒にそのマンションを双眼鏡で覗くことになった。
夜11時過ぎ。
墓地の跡地に建つマンションを見上げ、俺は少しビビっていた。
「マジでやるのかよ……」
「ビビってんのか?」
高橋はニヤニヤしながら双眼鏡を俺に渡した。
「ほら、あの7階。昨日"いた"のはそこ」
俺は恐る恐る双眼鏡を覗き込んだ。
7階のベランダは誰もいない。
カーテンは閉まっており、特に異常は感じなかった。
「……何もいねぇじゃん」
「まだだよ。0時過ぎると出るんだって」
ふざけるなよ、と思いながらも俺は双眼鏡を覗き続けた。
そして、深夜0時ちょうど——
「……あれ?」
7階のベランダに、人影が立っていた。
白い服を着た、長い髪の女。
ベランダの外側に立って、顔だけがこちらを向いている。
「……やばい、マジでいるじゃん」
震える声で高橋に伝えると、彼は嬉しそうに言った。
「だろ?でも、面白いのはここからだよ」
「は?」
「もっとズームにしてみろ」
俺はおそるおそる双眼鏡のピントを合わせ、女の顔にズームをかけた。
その瞬間——
「え……?」
顔が……ない。
いや、違う。
女の顔は、骸骨のように白く爛れ、目だけが異様に飛び出していた。
だが、それ以上に恐ろしかったのは——
その目が、明らかに俺を見ていることだった。
「……ヤバい、これマジで見ちゃダメなやつだ」
慌てて双眼鏡を下ろした瞬間——
「ドンッ!!」
突然、マンションの7階のベランダから何かが転落した音がした。
俺は悲鳴を上げ、双眼鏡を落とした。
「おい、今の音……!」
「……ヤバい、マジでヤバいって!!」
慌ててその場を離れ、コンビニまで走った。
消えた遺骨
翌日、どうしても気になり、俺はそのマンションのことを調べた。
すると、驚くべき事実が出てきた。
「数年前、このマンション建設中に、移動したはずの遺骨の一部が行方不明になっている」
しかも、行方不明になった遺骨の数と、夜に現れる人影の数が一致しているという記事まで見つけた。
「マジかよ……」
さらに最悪なことに、あの日俺が双眼鏡で見た7階の部屋は、
「入居者の突然死が続いており、現在も空室状態」
と書かれていた。
俺は鳥肌が立った。
あの日俺が見た転落した"女"の幽霊は、墓地の跡地に眠っていた誰かの遺骨。
まだ成仏できずにそこにいるのだ。
まだ、見ている
それから数日後、高橋から連絡が来た。
「おい……やばいかもしれん」
「どうした?」
「俺、家で双眼鏡使って別の場所見てたんだけど……」
「は?」
「……どこを覗いても、必ず"あの女"がいるんだよ」
「は? どういうことだよ?」
「昨日は自分の家のベランダ覗いたら、俺のベランダに立ってた」
俺はゾッとした。
「やめろって、嘘だろ?」
「いや、マジだ……。しかも、さっきからずっとノック音がしてる」
「え?」
「今もしてる……ドン、ドン、ドンって……」
その瞬間、電話の向こうからガシャーン!!とガラスの割れる音がした。
「高橋!?」
「やべぇ……!入ってきた!!」
プツッ……
通話が、途切れた。
翌日、高橋は自宅で転落死しているのが発見された。
彼の遺体の顔は、まるで恐怖に引き裂かれたような表情だったという。
そして、そのニュースの映像の中——
高橋のベランダの隅に、双眼鏡を持った白い女が立っていた。
カメラがズームになると、その女は明らかにカメラを見て笑っていた。
今もあのマンションは空室だ。
でも、夜中に双眼鏡で覗くと——
7階のベランダには、必ず何かが立っているという。
そして、それを見た者は必ず"転落死"する。
だから、絶対に覗くな。
双眼鏡を使う限り、次はお前が見つかる。
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