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【奇妙な村】地図にない集落の秘密 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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序章:ナビに表示されない村

「おかしいな……こんな場所、地図に載ってないぞ?」

大学生の 藤木翔太(ふじき・しょうた) は、友人の 中田圭吾(なかた・けいご) とともに、山奥のドライブに出かけていた。

目的地は、ネットの掲示板で話題になっていた「地図にない村」

「存在しないはずの村に迷い込んだ」という噂があり、興味を持った2人は半信半疑で車を走らせていた。

「ナビには道が表示されてないのに、ちゃんと舗装されてるな……。」

「なんか、違和感あるな。」

しばらく進むと、突然霧が立ち込めてきた。

「うわ、視界悪っ……。」

霧を抜けると、目の前に小さな村が広がっていた。

「……あったな、村。」

しかし、そこには明らかに異様な光景が広がっていた。

第一章:奇妙な村人たち

村には 古びた日本家屋 が並び、あちこちに畑や井戸が残っている。

しかし、違和感があった。

村人たちが、みんな同じ顔をしている。

「……おい、見ろよ。」

畑仕事をしている老人、井戸で水を汲んでいる女、子どもたち——

どの人も、目元や鼻の形がほぼ同じなのだ。

「……これって、どういうことだ?」

気味悪く思いながらも、2人は村の中心へ向かった。

すると、村の中央にある神社の前で、一人の老婆が待っていた。

「……いらっしゃいましたね。」

老婆は、2人が来ることを知っていたような口ぶりで言った。

「すみません、この村のことを調べていて……。」

翔太がそう言うと、老婆は微笑んだ。

「……まあ、お入りなさい。」

第二章:消えた村の歴史

神社の中に入ると、中央に大きな木彫りの面が飾られていた。

その顔は——

村人たちとそっくりだった。

「これは……?」

「この村の“神”ですよ。」

老婆は穏やかに言った。

「神?」

「そう……昔、この村には、“顔を分け与える神” がいたのです。」

翔太と圭吾はゾクリとした。

「この村の者は、皆、その神から同じ顔を授かるのですよ。」

「そんなこと……。」

「お二人も、ここに長くいればいずれ、同じ顔になりますよ。」

その言葉を聞いた瞬間、翔太は本能的にここにいてはいけないと感じた。

「……すみません、そろそろ帰ります。」

すると、老婆は首をかしげた。

「帰る? どこへ?」

「え?」

「あなたたちは、もうこの村の一員ですよ。」

「……何言ってるんですか?」

「ほら、ご覧なさい。」

老婆が指を差した先——

翔太と圭吾が、神社の鏡を覗き込むと——

鏡の中の自分の顔が、村人たちと同じものになっていた。

第三章:出口のない村

「うわあああ!!!」

翔太と圭吾はパニックになり、神社を飛び出した。

村人たちは静かに2人を見つめている。

どの顔も、まったく同じ。

2人は車に駆け込み、急いでエンジンをかけた。

「逃げるぞ!!」

猛スピードで村を飛び出し、来た道を戻ろうとする——

だが、ナビの画面は真っ黒になっていた。

「道が……ない!?」

必死で走り続けるが、どこを走っても同じ村に戻ってくる。

「どうなってんだよ!!」

「くそっ……!!」

エピローグ:戻れない現実

それから、翔太と圭吾の行方はわからなくなった。

数週間後、村の近くの山道で、彼らの車だけが発見された。

しかし、車内はもぬけの殻だった。



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