目次
地図にない村
大学の夏休み、俺と友人の田中、翔太、村上の3人はドライブ旅行に出かけた。
目的は「田舎の秘境を巡ること」。
俺たちはスマホの地図を頼りに、ナビでは表示されない山奥の道を進んでいた。
すると、山道の途中で、古びた木の標識を見つけた。
「◯◯村 → 5km」
「こんな村、地図に載ってなくね?」
「面白そうじゃん、行ってみようぜ」
興味本位で俺たちはハンドルを切った。
——それが、間違いだった。
奇妙な村の入口
道を進むと、霧が立ち込めてきた。
やがて、古びた木造の家々が並ぶ小さな村に出た。
村の入口には、錆びついた鳥居が立っていた。
「……神社か?」
「でも、こんな鳥居見たことねぇぞ」
鳥居の上には、読めない古い文字が刻まれていた。
車を降りて村の中を歩くと、住人たちがゆっくりとこちらを見た。
全員が無表情で、じっと俺たちを見つめている。
「……やばくね?」
「いや、なんか歓迎されてる感じじゃね?」
だが、どう見ても「歓迎」ではなく「監視」されているようにしか思えなかった。
異様な風習
村の中央には、大きな広場があり、一軒の古い屋敷が建っていた。
そこで俺たちは、村の長老らしき老人に声をかけられた。
「よく来たね……。久しぶりの“外の人”だよ」
俺たちは少し安心した。
「すみません、ナビにない村だったんで、ちょっと気になって……」
老人はニコリと笑った。
「そうかそうか……まあ、せっかく来たんだ。今日はちょうど"祭りの日"だから、泊まっていくといい」
「祭り?」
「“迎えの儀”と言ってね、この村にとってとても大事な日なんだよ」
老人の後ろで、村人たちが静かに微笑んでいる。
俺はこの時、本能的に「この村はヤバい」と感じた。
「いや、すみません。俺たち、もう帰るんで……」
そう言った瞬間——
「帰る?」
村人たちの笑顔が、一瞬にして消えた。
俺たちはぞっとして、すぐに村の入口へ向かった。
だが——
そこに、あったはずの鳥居が消えていた。
消えた出口
「おい……どういうことだよ……」
後ろを振り返ると、村人たちは微動だにせず、俺たちをじっと見ていた。
村長が静かに言った。
「“迎えの儀”が終わるまでは、村の外には出られないよ」
「……は?」
田中が震える声で言った。
「そんなのおかしいだろ! どうやってここに入ったんだよ!」
俺たちはスマホのナビを確認した。
だが、画面には——
「現在地 不明」
「……嘘だろ」
車に戻ろうとしたが、駐車したはずの場所に車がなかった。
「……逃げられない」
絶望感に襲われた。
迎えの儀
日が沈むと、村人たちは広場に集まり、「迎えの儀」が始まった。
太鼓の音が鳴り響き、松明が灯される。
村の中央には、白装束を着た見知らぬ若者が立っていた。
顔は青ざめ、何かを必死に訴えようとしている。
その瞬間——
村人たちは、若者に向かって一斉に手を合わせた。
「迎えに来てください……迎えに来てください……」
呪文のような声が広場に響き渡る。
ゴゴゴゴ……
地面が揺れたかと思うと——
若者の足元に、黒い穴が開いた。
「……え?」
次の瞬間、若者は悲鳴を上げながら穴の中へ引きずり込まれた。
村人たちは微笑みながら、それを見つめている。
俺たちは絶句した。
「次は、お前たちの番だよ」
俺たちは一斉に走り出した。
そして、今も……
それからどうやって逃げたのか、正直よく覚えていない。
気づくと、俺たちは見覚えのある山道にいた。
背後には、あの村はなかった。
何故か目の間の前に俺たちの車があり、それに乗り、町へと戻った。
翌日、俺たちは地図を確認したが——
どこにも、その村の記録はなかった。
地元の人に聞いても、「そんな村は知らない」と言われた。
だが、それ以来、俺たちは奇妙な夢を見るようになった。
村の広場、響く太鼓の音、迎えの儀……
そして、夢の中で必ず聞こえる。
「次は、お前たちの番だよ」
あの村は、まだ俺たちを呼んでいるのかもしれない。
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