大学の期末試験が近づき、俺は夜遅くまで図書館で勉強していた。
時計を見ると、夜の10時半。
そろそろ帰ろうと立ち上がると、館内放送が流れた。
「館内にいる方は、まもなく閉館時間となりますので、速やかにご退館ください」
「やば、もうそんな時間か」
慌てて荷物をまとめ、静まり返った廊下へ出る。
この時間になると、もうほとんど人はいない。
俺は階段へ向かい、出口へ向かおうとした——その時。
「……パタ、パタ、パタ……」
スリッパの音が聞こえた。
目次
誰もいないはずの廊下
図書館では、職員が履くためのスリッパが用意されている。
「……あれ? まだ職員がいるのか?」
そう思い、音のする方向へ目を向けた。
しかし、廊下には誰もいない。
「……聞き間違いか?」
そう思いながら階段を降りようとすると——
「パタ……パタ……」
今度は俺のすぐ後ろから聞こえた。
「……っ!」
振り向く。
だが、そこには誰もいない。
背筋が冷たくなる。
確実に、すぐ後ろを誰かが歩いていたはずなのに。
足元のスリッパ
気味が悪くなり、俺は足早に出口へ向かった。
誰もいない廊下を歩き、最後の階段を降りる。
あと少しで玄関というところで、ふと気づいた。
廊下の真ん中に、スリッパが片方だけ落ちている。
「……誰のだ?」
妙に古びた、色褪せたスリッパ。
不気味な感じがして、できるだけ見ないように通り過ぎようとした。
しかし——
「パタ、パタ、パタ……」
スリッパの音が、再び背後から聞こえた。
しかも今度は、さっきよりも速い。
まるで、俺を追いかけるように——
最後のドア
「やばい」
本能的にそう思った俺は、全力で走った。
エントランスのガラス扉が見える。
あと少し、あと少し——
「パタパタパタパタ!!!」
猛スピードでスリッパの音が迫る。
俺は恐怖に突き動かされながら、扉を開け、外に飛び出した。
その瞬間、音はピタリと止まった。
「……はぁ、はぁ……」
荒い息を整えながら、恐る恐る振り返る。
そこには——
スリッパが、両足揃って置かれていた。
まるで、"履いて"と言わんばかりに。
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