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並ぶ白い影──深夜の線路沿いで見たもの 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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深夜の線路沿い

その日、俺は仕事で遅くなり、終電を逃してしまった。

仕方なく駅から歩いて帰ることにしたが、最寄りのバスも終わっている。

「……線路沿いを歩けば早いか。」

線路沿いに続く歩道は、昼間なら通勤・通学の人で賑わっている。

だが、深夜1時を過ぎた今は誰もいない。

街灯もまばらで、ほとんど真っ暗だ。

「早く帰ろう……」

足早に歩いていると、ふと視界の端に何かが映った。

線路沿いの柵の向こう側、真っ暗な線路の脇に——

白い人影が立っていた。

(……誰か、いる?)

酔っ払いか何かだろうか。

だが、その白い影はじっと線路を見つめているだけで、動かない。

「……関わらない方がいいな。」

俺はなるべく気にしないようにして、足早に通り過ぎた。

ひとつ、ふたつ、みっつ……

線路沿いをさらに歩いていると、

再び白い人影が立っているのが見えた。

今度は少し先の電柱の横。

「……また?」

真っ白な服を着た人影。

顔は見えず、髪の毛だけが妙に黒々としている。

(さっきの人……? いや、別人か?)

怖くなり、スマホで時間を見る。

午前1時28分。

「……早く帰ろう。」

だが、そこからが異常だった。

次の電柱のそばにも、また白い人影が立っていた。

その次の電柱のそばにも——

また、その次の電柱のそばにも——

並ぶように白い人影が立っている。

(な、なんだよこれ……)

気づけば線路沿いの電柱の横ごとに、白い影がひとつずつ並んでいる。

「……やばい、やばい……」

俺は走り出した。

でも、次の電柱のそばにも白い影がいた。

その次の電柱のそばにも——

「嘘だろ……!!」

気づけば、視界の先にずっと白い人影が並んでいる。

ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ……

数えるのをやめた。

これ以上数えると、取り返しのつかないことになる気がした。

見てはいけない顔

走り続けて、やっと大通りまで出た。

「はぁ……はぁ……」

大通りに出た途端、線路沿いの白い影はぱたりと消えた。

「……なんだったんだ、今の。」

怖さと疲れで足が震える。

振り返ると、そこは先ほどまで走っていた線路沿いの道。

「……いない……よな。」

安堵していると、ふと違和感に気づいた。

電柱の隣に誰かが立っている。

「え?」

白い服を着た人影だった。

(まだ、いる……?)

しかし、今までの影とは違う。

その白い人影は——

顔を、こちらに向けていた。

「っ……!!」

今までの影はずっと顔を伏せていたはず。

なぜ、こっちを見ている!?

その瞬間、俺は直感的に理解した。

「見たら終わる」

足がすくみ、動けない。

影の顔は、まるで黒い穴のようになっている。

口だけがニヤリと笑った。

その瞬間、背後からドンッ!と肩を押された感触がした。

「うわあああ!!」

反射的に振り向いたが、誰もいなかった。

俺は全速力で家まで逃げ帰った。

後日談

翌日、会社の同僚に昨夜のことを話した。

「線路沿いに白い影が並んでたんだよ。」

すると同僚が顔色を変えた。

「……お前、それ、知ってるか?」

「え?」

「あの線路、昔集団飛び込み自殺があった場所だぞ。」

「……は?」

「30年以上前、電柱ごとに人が並んで次々に飛び込んだらしい。」

「じゃあ、あれは……」

「たぶん……まだ並んでるんだよ。」

冗談じゃない。

あれはただの残像とかそんなものじゃなかった。

……でも、ふと気づいたことがある。

昨夜、俺はずっと白い影とすれ違っていた。

でも最後に見た影だけは、顔をこっちに向けていた。

あれは、もしかして——

「……次に並ぶのは、お前かもしれないな。」

同僚の冗談混じりの言葉に、俺は一言も返せなかった。

その後

その日から、俺は絶対にあの道を通らなくなった。

でも時々、ふと感じることがある。

線路沿いの道を車で通ると、電柱の下に白い影が並んでいるような気がする。

数えちゃいけない。

絶対に顔を見ちゃいけない。

そして何より——

最後の影と目を合わせたら、次は自分が並ぶ番になる。

今もあの線路沿いでは、電柱ごとに白い影が並んでいるはずだ。

もしあなたが夜中に線路沿いを歩くことがあれば——

最後の影とは、絶対に目を合わせないでください。



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