目次
序章:深夜の交差点
「……なんで、こんな時間に?」
会社員の 坂井直人(さかい・なおと) は、残業を終えてタクシーを降りた。
時刻は深夜 1時過ぎ。
家まで歩いて数分の道を進んでいると、交差点の角にベビーカーがぽつんと置かれているのが見えた。
「……え?」
誰もいない。
だが、ベビーカーには赤ん坊らしきものが乗っている。
「こんな時間に、こんな場所で……?」
不気味に思いながらも、近づいて中を覗き込んだ——
中は空だった。
「……なんだよ、誰かのイタズラか?」
ホッとしながら顔を上げた瞬間、背後から——
「あ……あぁ……」
かすれた声が聞こえた。
第一章:群霊の気配
「……誰かいるのか?」
直人が振り向くと、街灯の下に人影が立っていた。
1人……いや、2人……?
よく見ると、それは複数のぼんやりとした人影だった。
大人も子供も混じっている。
そして、みんなじっと直人を見つめていた。
「……なんだよ、これ……。」
すると、ベビーカーの車輪が勝手に動き出した。
ギィ……ギィ……
ゆっくりと交差点の真ん中へ進んでいく。
直人の心臓が早鐘を打つ。
「やばい……。」
そう思った瞬間——
ザザザザッ!!
霧のような白い影が、無数に交差点の中央に集まり始めた。
そして、どこからともなく、幼い子供の笑い声が響いた。
「あはは……あははは……」
直人は本能的に感じた。
—— ここにいたら、取り込まれる。
第二章:ベビーカーの正体
直人は走り出した。
しかし、足が重い。
まるで何かに引っ張られているような感覚。
背後からは、ベビーカーのギィ……ギィ……という音がついてくる。
そして、足元を見ると——
小さな手が、自分のズボンを掴んでいた。
「うわぁっ!!!」
慌てて振り払うと、その瞬間、耳元で囁き声が聞こえた。
「パパ……どこ行くの?」
「ちがう!! 俺はお前の父親じゃない!!」
直人は叫びながら、一目散に自宅マンションへ駆け込んだ。
エレベーターに飛び乗り、ボタンを連打する。
「……お願いだから、早く閉まれ……!!」
しかし、ドアが閉まりきる直前、外の廊下に何かが見えた。
ベビーカーが、そこにあった。
そして——
ベビーカーの後ろに、無数の白い影がじっと立っていた。
第三章:増えていた影
部屋に戻った直人は、すぐに玄関の鍵を閉めた。
「……なんなんだよ、あれは……。」
全身が冷え切っていた。
怖くなり、スマホで「深夜のベビーカー 怖い話」と検索した。
すると、地元の都市伝説がヒットした。
【○○町交差点の怪】
・深夜1時頃、交差点に誰もいないはずのベビーカーが現れる。
・覗き込んではいけない。見た人は、その後“何か”に追われる。
・ベビーカーは、過去に起こった交通事故の名残だと言われている。
「……交通事故?」
さらに調べると、10年前、その交差点で親子連れがトラックに撥ねられた事件があったことがわかった。
母親と幼い子供、そして数人の通行人が巻き込まれ、即死したという。
「……もしかして、あのベビーカー……?」
その時——
コン……コン……コン……
玄関のドアを叩く音がした。
モニターを見る。
誰もいない。
しかし、玄関の前には——
ベビーカーが置かれていた。
そして、スマホの画面に通知が届いた。
《新しいグループチャット「家族」 に追加されました》
「……は?」
メンバー欄には、見覚えのない名前がずらりと並んでいた。
そして、一番上には「坂井直人」と書かれていた。
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