目次
序章:山中の異変
「なあ、本当にこっちで合ってるのか?」
登山好きの 相沢翔(あいざわ・しょう) は、友人の 高梨啓介(たかなし・けいすけ) と共に、深夜の山道を歩いていた。
目的地は、地元ではあまり人が立ち入らないと言われる「礫ヶ岳(つぶてがたけ)」。
「この山、夜中に石が飛んでくるって噂があるんだよな。」
「マジかよ……。」
ネットの噂では、この山には「暗夜の礫(あんやのつぶて)」と呼ばれる怪異があるという。
『夜になると、どこからともなく小さな石が飛んでくる。
しかし、投げた者の姿は決して見えない。
そして、その石に当たった者は、二度と戻れない』
「まあ、どうせ作り話だろ。」
そう言いながらも、二人はどこか落ち着かない気持ちで山道を進んでいった。
しかし、この時すでに「何か」に見られていることに気づいていなかった。
第一章:響き始める石の音
山道を登り続けて30分ほど経った頃——
カチ……
「……え?」
静寂の中、何かが石に当たるような音がした。
「気のせいか?」
「いや、確かに聞こえた……。」
そして——
カチ、カチ、カチ……
明らかに、小石が飛んでくる音が聞こえ始めた。
「おい、まさか本当に……?」
恐る恐る辺りを見回したが、石を投げた人間の姿はどこにもない。
それどころか、視界の隅に——
ぼんやりとした人影がいくつも見えた。
「……群霊……?」
その瞬間——
カツン!!
石が啓介の足元に当たり、転がった。
「うわっ……!!」
そして、次の瞬間——
ザザザザッ……!!
無数の小石が、二人に向かって飛んできた。
「逃げるぞ!!」
必死に走り出すが、どこへ行っても石が降り注ぐように飛んでくる。
そして、翔は気づいた。
—— この石、全部“墓石の破片”みたいだ。
第二章:群霊の正体
なんとか木の陰に隠れ、息を整える二人。
「……やばい、やばいって……。」
「一体、何なんだよ……。」
そこで、翔はあることに気づいた。
「なあ、この山……昔、処刑場だったって聞いたことないか?」
「え?」
翔の地元では、江戸時代、この山の一帯が処刑場だったという噂があった。
「もしかして……ここにいるのは、処刑された人たちの霊なんじゃ……?」
「嘘だろ……。」
「石は……もしかして、昔の処刑方法か?」
石をぶつけられて殺された罪人たちの霊が、今も誰かを迎えようとしている……?
その時——
ザザザザッ……!!
今までとは比べ物にならないほどの石が、一斉に飛んできた。
「うわあああ!!!」
必死に避けながら、二人は山を駆け下りた。
しかし、啓介が突然叫んだ。
「翔……!! もう一人、誰かついてきてる……!!」
「は?」
振り向くと、そこには——
白い服を着た男が、無表情で追いかけてきていた。
「嘘だろ……!!」
全力で走る二人。
しかし、その男は音もなく、確実に距離を詰めてくる。
「うわあああ!!」
恐怖のあまり、翔は目を閉じた。
第三章:戻れなかったのは
「——おい、起きろ!!」
気づくと、翔は山のふもとで倒れていた。
「あれ……俺……?」
「あぶねえよ、お前、途中で転んで気を失ってたんだぞ!!」
「啓介……?」
「やっと山を下りたんだ……もう二度と来ねえぞ……。」
「……そうだな……。」
なんとか無事に帰宅した翔は、翌朝、ニュースを見て凍りついた。
『昨夜、山中で行方不明者が発生』
『発見されたのは、20年前に失踪した男性の遺体と同じ服装』
「……まさか……。」
その瞬間、スマホが鳴った。
啓介からのメッセージ。
《なあ、俺たちって……何人で山に行ったっけ?》
翔の心臓が、嫌な鼓動を打つ。
スマホの写真フォルダを開くと——
登山前の写真に、“3人”写っていた。
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