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群霊の人形館──増えていくアンティークドール 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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序章──奇妙な人形コレクター

大学生の佐々木悠斗は、骨董品が好きな友人の高橋に誘われ、ある古物商を訪れた。

「ここ、かなり珍しいアンティークが揃ってるらしいぜ」

店内に入ると、そこには無数のアンティークドールが並んでいた。

陶器でできた繊細な顔立ちの西洋人形、くすんだ色のドレス、ガラスのような瞳。

「……うわ、正直ちょっと怖いな」

「お前、ビビってんのか?」

高橋が笑う。

その時、奥から店主が現れた。

「いらっしゃい……人形をお探しかね?」

老人の店主は静かに微笑んだ。

「実は、珍しいコレクションがあってね。見ていくかい?」

興味を持った二人は、店の奥へ案内された。

第一章──群霊の人形館

案内されたのは、店の地下にある部屋だった。

「ここは私の特別なコレクションルームだ」

部屋に入ると、棚いっぱいに無数のアンティークドールが並んでいた。

「……これはすごいな」

悠斗は圧倒されたが、同時に異様な雰囲気を感じた。

どの人形も、まるで生きているかのようにこちらを見つめている。

「これだけ集めるの、大変だったんじゃないですか?」

「いや……彼らは勝手に増えていくのさ」

老人は不気味な笑みを浮かべる。

「……増える?」

「おや、知らないのかい?」

店主は棚の中央に置かれた一体の人形を指さした。

「この人形は特別なんだよ。この子がいる限り……新しい仲間がどんどん増えていくのさ」

その人形は、他のものとは違った雰囲気を持っていた。

不自然に赤黒い瞳、古びたドレス、ひび割れた頬。

「この人形の名は“群霊の人形”

「群霊……?」

「ええ。彼女はね、“魂を呼ぶ”んだよ」

悠斗と高橋は背筋が寒くなった。

「……帰ろう」

「おい、ちょっと待てよ」

「いや、なんか……ここ、ヤバい気がする」

二人は店を後にした。

しかし、それで終わりではなかった。

第二章──増えていく人形

翌日。

悠斗が部屋に戻ると、ベッドの上にアンティークドールが置かれていた。

「……なんで?」

自分で買った覚えはない。

高橋のいたずらかと思い、電話をかけた。

「なぁ、お前、俺の部屋に人形置いた?」

「は? 何言ってんだ?」

「いや……今、部屋にアンティークドールがあるんだけど……」

「マジで知らんぞ」

悠斗は冷や汗をかいた。

あの店に行った翌日に、なぜか人形が現れる。

「……気のせいか?」

そう思いながら、人形をクローゼットにしまい、その日は寝ることにした。

しかし、次の朝。

ベッドの上に、また一体増えていた。

第三章──鏡に映るもの

悠斗は不安になり、部屋をくまなく調べた。

しかし、部屋の鍵はかかっていたし、誰かが侵入した形跡もない。

「……どういうことだ?」

そして、鏡の前に立った瞬間、異変に気づいた。

鏡の中の部屋に、人形がもっとたくさんある。

「……なんだ、これ……」

恐る恐る後ろを振り返る。

ベッドの上には昨日までの二体だけ。

しかし、再び鏡を見ると、10体以上の人形が並んでいる。

「ヤバい……これはマジでヤバい……」

悠斗は慌てて店に戻り、店主に事情を話した。

「ふむ……とうとう君のもとへ行ったか」

「どういうことなんですか?」

「彼らはね、“見つけた者のもとへ集まる”んだよ」

「集まる……?」

「そう。群霊の人形が、新しい仲間を求めているんだ。」

店主はゆっくりと続けた。

「そして、その仲間が揃うと……次に人形になるのは、“持ち主”だよ」

終章──迎え入れる者

悠斗はゾッとし、急いで部屋に戻った。

しかし、もう遅かった。

ベッドの上には、昨日までの二体を超える数十体の人形が並んでいた。

「こんなに……昨日まではなかったはずなのに……!」

そして、ふと気づいた。

人形の顔の一つが、自分にそっくりになっていることに。

「……嘘だろ?」

手を伸ばすと、人形の口がゆっくりと動いた。

「これで、揃った」

次の瞬間、悠斗の視界は暗転した。

──翌日。

高橋が悠斗の部屋を訪れたが、彼の姿はなかった。

ただ、そこには新しく増えた一体の人形があった。

その人形は、どこか悠斗に似ていた。

そして、鏡を見ると……

高橋の後ろに、人形たちがずらりと並んでいた。

「次は、お前の番だよ」



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