大学で民俗学を学んでいる俺は、教授の依頼でとある古民家の調査をすることになった。
その家は、「呪われた日本人形がある」と噂され、地元でも有名な場所だった。
「この家には、かつて『群霊信仰』と呼ばれる特殊な供養の風習があったらしい。どうやら、その中心に"人形"が関わっていたらしいんだ」
教授はそう言いながら、古びた写真を見せてくれた。
そこには、一体の日本人形が写っていた。
白い着物をまとい、黒髪が長く、顔は異様に青白い。
そして、驚くべきことに——
人形の周りに、無数の影のようなものが写り込んでいた。
「これは……」
「この人形は、村人たちの魂を宿す"依代"だったと言われている」
教授の話によると、昔この村では疫病が流行り、多くの村人が亡くなった。
遺体を弔う余裕もなかったため、村人たちは亡くなった者の魂を日本人形に宿し、"群霊供養"と称して祀っていたらしい。
しかし、その供養は途中で途絶え、人形だけが家に残された。
それ以来、家に入った者は皆、奇妙な現象を体験するという。
俺は興味をそそられ、その家へ向かうことにした。
——そして、そこで俺は"彼ら"に出会った。
目次
群霊のいる家
古民家は山奥にひっそりと佇んでいた。
扉を開けると、内部は埃っぽく、長年放置されていたことがわかる。
「……ここに、人形があるはずだ」
奥の座敷に進むと、そこに"それ"はいた。
白い着物をまとい、髪の長い日本人形。
表情は無機質なはずなのに、どこか生きているような気配を感じる。
しかし、それ以上に異様だったのは——
人形の周りに、無数の影が見えたことだった。
「……っ!!」
黒く、ぼんやりとした"人の形"の影が、部屋の隅々に佇んでいた。
まるで、人形を囲むように並んでいる。
俺は一歩後ずさった。
すると——
カタ……カタ……
人形の首が、わずかに傾いた。
群霊の囁き
「……おい、冗談だろ?」
目の錯覚かと思った。
だが、その瞬間、背後から——
「おまえも、こちらに」
低い声が囁いた。
ゾクリと背筋が凍る。
振り向くと、襖の向こうに——
無数の顔がこちらを覗いていた。
ぼんやりとした輪郭の顔たち。
目と口だけが黒く落ち込み、どれも焦点が合っていない。
「うわっ……!!」
俺は恐怖で体が動かなくなった。
その時——
人形が、ゆっくりと笑った。
供養の終わった人形
「やばい、ここにいたら……!」
本能的にそう感じた俺は、研究用のカメラを構えた。
教授の話では、人形を撮影すると霊が映ると言われていた。
「——カシャッ!!」
フラッシュが光る。
その瞬間——
群霊たちが、苦しむようにうねった。
「……!!」
次の瞬間、部屋の空気が一気に軽くなった。
恐る恐るカメラの画面を見ると、そこには——
人形の前に跪く、何人もの"白い影"が映っていた。
まるで、彼らが最後の供養を受けているかのように。
そして、驚くべきことに——
人形の顔は、ほんのわずかに穏やかになっていた。
その後
俺は急いで教授に報告し、古民家の調査は正式に終了した。
後日、村の僧侶によって人形は供養され、家も解体された。
しかし——
俺のスマホには、まだあの写真が残っている。
そこには、跪く白い影と、穏やかな表情を浮かべる人形が写っていた。
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