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群霊の道──集まり続ける者たち 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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序章──奇妙な心霊スポット

大学生の中村悠斗は、オカルト好きの友人高橋に誘われ、ある心霊スポットに向かっていた。

そこは、地元では「群霊の道」と呼ばれる場所だった。

「なんで『群霊』なんて名前がついてんだよ」

悠斗が尋ねると、高橋は嬉しそうに答えた。

「ここさ、『一人で通ると、次第に人が増えていく』って言われてるんだよ」

「増える?」

「そう。歩いてると、後ろに人の気配を感じる。でも振り返っちゃダメなんだって」

「なんで?」

「振り返ると、そこにいる“誰か”がついてくるようになるんだと」

悠斗はゾッとした。

「まぁ、どうせ作り話だろ」

そう言いながらも、胸の奥に妙な不安を感じていた。

第一章──増えていく気配

夜11時、二人は群霊の道の入り口に立った。

街灯もなく、月明かりだけが頼りの細い山道。

「本当に行くのか?」

「せっかく来たんだし、試してみようぜ」

二人は慎重に歩き始めた。

最初は何もなかった。

風の音、草のざわめき、虫の鳴き声。

しかし、数分後──

コツ……コツ……

「……?」

背後で、もう一人足音が増えた気がした。

悠斗は息を呑む。

二人で歩いているのに、三人分の足音がする。

「おい、高橋……今、誰か後ろにいないか?」

「振り返るな」

高橋が低い声で言った。

「わかってる……」

恐怖を感じながらも、そのまま歩き続ける。

しかし、足音はどんどん増えていった。

──コツ……コツ……コツ……コツ……

まるで行列のように、後ろに大勢の誰かがついてきている。

「ヤバい……これ、本当に……」

「いいから、前だけ見て進むんだ」

二人は必死に歩き続けた。

だが、その時。

「……ねぇ」

──後ろから、声がした。

第二章──呼びかける者

低く、濡れたような声だった。

「……ねぇ、どこに行くの?」

聞こえないふりをして歩く。

「ねぇ……一緒に、行こうよ……」

「ダメだ、絶対に振り返るな……」

高橋の手が震えているのが分かる。

しかし、悠斗はもう耐えられなかった。

意を決して、スマホのインカメラをそっと開いた。

画面に映ったのは──

後ろに続く、無数の白い顔。

男も女も、老人も子供も、みんな無表情で二人の後をついてきていた。

「っ……!!」

耐えきれず、悠斗はついに振り向いてしまった。

その瞬間、

──群霊たちは、一斉に笑った。

「見つけた」

第三章──帰れない道

悠斗は悲鳴を上げ、全力で駆け出した。

「高橋!! 逃げるぞ!!!」

「だから振り向くなって言ったのに!!」

二人は必死に走った。

だが、背後の足音も増えていく。

──コツ……コツ……コツ……コツ……

それどころか、道の両側の林の中からも、白い手が伸びてくる。

「もう無理だ……!!」

ようやく、街の灯りが見えた。

「あと少し……!!」

ゴールに飛び込むように走り、二人は一気に明るい通りへ出た。

気づけば、足音は消えていた。

「はぁ……はぁ……助かったのか?」

「たぶん……」

二人は震えながら互いの顔を見た。

「帰ろう」

「……ああ」

そう言って、二人は家に帰った。

だが、悠斗の胸には、ある違和感が残っていた。

──「本当に、帰ってこれたのか?」

終章──増えていく影

それから数日後。

悠斗は気づいてしまった。

──街中を歩いていると、誰もいないはずの道で自分の後ろに足音が聞こえることに。

──家に帰ると、玄関に見覚えのない泥の足跡が増えていることに。



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