怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

群霊の集う場所 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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俺がその村に足を踏み入れたのは、純粋な興味からだった。

古い民俗学の資料に載っていた「群霊信仰」——すでに廃れた風習を持つ、小さな村。

かつて、戦乱や災害で多くの命が失われた場所では、死者たちの霊を鎮めるために特別な祭祀が行われていたらしい。

だが、その村の名前は、どの地図にも載っていなかった。

古い記録を頼りに、俺は山奥へと向かった。

——そして、"あの夜"のことを、今でも後悔している。

消えた村

地元の年配者に聞いても、誰もその村を知らないと言った。

「そんな村、昔からないよ」

「その辺りはもう廃墟ばかりだろう」

それでも俺は諦めずに、山道を進んだ。

すると、ひっそりと佇む無人の村にたどり着いた。

古びた木造の家々。

人気はない。

しかし、明らかに人が住んでいた形跡がある。

家の中にはまだ生活用品が残され、井戸の水も濁ってはいない。

「本当に無人なのか……?」

不思議に思いながら村を歩くと、ある場所で足が止まった。

「群霊堂」

そう書かれた小さな祠があった。

扉は開いており、中には無数の位牌が並んでいた。

「〇〇家之霊」「△△家之霊」

どれも「個人の名前」ではなく、"家全体"を指すものだった。

まるで——

村の全員が、一度に死んだかのように。

群霊の声

夕暮れが近づき、そろそろ帰ろうとした時だった。

「……だれ……?」

微かに聞こえた声に、背筋が凍る。

誰もいないはずなのに。

「……誰かいるんですか?」

返事はない。

だが、確かに聞こえた。

「……みつけた……」

背後から。

俺はゆっくりと振り向いた。

すると、村の家々の窓から——

無数の"白い顔"が覗いていた。

目の焦点が合わず、どれもぼんやりとした顔。

しかし、確かに"何か"がこちらを見ている。

「……っ!!」

全身の毛が逆立つ。

次の瞬間、

「こっちに……おいで……」

囁くような声とともに、霧のような影が村中から集まり始めた。

何かが、俺を村の中へ引きずり込もうとしている。

群霊に呑まれるな

「やばい!!」

全速力で逃げた。

道の左右から、無数の白い手が伸びる。

空気が重くなり、体が鉛のように動かない。

それでも必死に走った。

村の入り口にたどり着いた時、突然——

「振り向くな!!」

鋭い声が響いた。

「振り向いたら、お前も"群れ"に入るぞ!!」

誰の声かはわからなかった。

だが、俺は言われた通り振り向かずに山を駆け下りた。

背後では、無数の何かが追ってくる音がした。

ザザザザザ……

ゴォォォォ……

風のような、波のような、不気味な音。

「あと少し、あと少し……!」

最後の力を振り絞り、ようやく山の麓までたどり着いた。

そこで——

音はピタリと止まった。

群霊の村は存在しない

翌日、俺は再び村へ行こうとした。

しかし——

どれだけ探しても、あの村には戻れなかった。

地図上にも、誰の記憶にも、その村は存在しない。

まるで、最初からなかったかのように。

だが、俺の手元には昨日撮った写真が残っていた。

そこには、確かに古びた村が映っている。

そして……

写真の端には、無数の白い影が並んでこちらを見ていた。



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