目次
序章:古びた布切れ
「……なんだこれ?」
会社員の 山崎拓也(やまざき・たくや) は、引っ越し先のアパートで奇妙な布の塊を見つけた。
古びたぼろきれが何枚も重なり、小さな人形のような形をしている。
「前の住人の忘れ物か?」
気味が悪かったが、とりあえずゴミ袋に入れて処分した。
しかし——
翌朝、玄関のドアを開けると、昨日捨てたはずのぼろきれの人形が落ちていた。
「……え?」
確かにゴミ袋に入れて捨てたはずなのに。
「まあ、捨て忘れたかな。」
そう自分に言い聞かせ、もう一度ゴミ袋に入れた。
しかし、その夜——
ベッドの横に、ぼろきれの人形が置かれていた。
第一章:消えない布人形
「さすがに気味悪いな……。」
拓也は、ぼろきれの人形をビニール袋でぐるぐる巻きにし、今度は遠くの公園のゴミ箱に捨てた。
「これでもう戻ってこないだろ。」
そう思って安心したが——
その夜、異変が起きた。
夜中、ふと目が覚めると——
カサ……カサ……
部屋のどこかで、布が擦れるような音がする。
「……なんだ?」
恐る恐る電気をつけ、部屋を見渡した。
そこには何もない。
「気のせいか……?」
そう思って再び布団を被った瞬間——
カサ……カサ……カサ……
音は、ベッドの下から聞こえていた。
第二章:布の中の何か
心臓がバクバクと鳴る。
「……誰かいるのか?」
恐る恐るベッドの下を覗いた。
そこには——
ぼろきれの人形があった。
「……なんで?」
完全に捨てたはずなのに。
しかも、今度は少しだけ形が変わっていた。
最初はただの布の塊だったはずが——
人の顔のような形になっている。
「……気持ち悪い……。」
ゾッとして、今度こそ燃やしてしまおうと、人形を掴んだ。
その瞬間——
布の内側から、冷たい手が伸びた。
「うわあああ!!」
拓也は悲鳴を上げ、手を離した。
布の人形は、まるで生きているかのようにカサカサと動き出し、部屋の隅へ転がっていった。
「何なんだよ、これ……!!」
恐怖に駆られ、部屋を飛び出した。
第三章:布の持ち主
翌日、アパートの管理人に事情を話した。
「すみません、この部屋、以前の住人って……?」
管理人は少し困ったような顔をした。
「実は……この部屋、半年ほど空き部屋だったんです。」
「え……?」
「それまでは、あるおばあさんが住んでいました。でも、ある日部屋で亡くなっているのが見つかって……。」
「……その人が、持ってたんですか? あの、ぼろきれの人形。」
「いや、遺品整理のときには、そんなものはなかったはずですが……。」
「じゃあ、あれは一体……?」
管理人はしばらく考えた後、小さく呟いた。
「……あの人、いつも何かを抱えて、話しかけていたんですよ。」
「何かって?」
「古い布の束でした。“あの子がいるから寂しくない”って、いつも言ってましたね……。」
「……。」
拓也はゾッとした。
(俺の部屋にある、あのぼろきれ……。)
(まさか……あのおばあさんの“あの子”なのか……?)
その夜——
布団の中で、拓也は再び耳を疑った。
カサ……カサ……カサ……
今度は、枕元から聞こえた。
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