目次
序章:突然のかゆみ
「……なんか、かゆい。」
会社員の 斉藤和也(さいとう・かずや) は、朝起きた瞬間に違和感を覚えた。
腕、首、背中——全身が妙にムズムズする。
「乾燥してるのか?」
冬でもないのに、肌が乾燥しているような感覚。
鏡で確認すると、皮膚に特に異常はない。
(まあ、そのうち治るだろ。)
軽く気に留めながら、いつも通り出勤した。
だが、その日一日——
かゆみは、どんどん強くなっていった。
第一章:消えない感覚
「お前、さっきから腕ばっか掻いてるけど大丈夫か?」
同僚の 高橋(たかはし) に指摘され、和也はハッとした。
「いや、なんか今日すげえかゆくてさ……。」
「アレルギーとか?」
「わからん……。」
帰宅後、念のためにシャワーを浴び、保湿クリームを塗った。
(これで治るだろ。)
しかし、ベッドに入ると、さらにかゆみが強くなった。
(なんでだよ……。)
我慢できずに腕を掻く。
その瞬間、ゾワッとした感覚が背中を走った。
まるで、誰かが背後から指でなぞったような感触。
「……っ!」
急いで振り返るが、部屋には誰もいない。
(気のせいか……?)
だが、この時はまだ和也は気づいていなかった。
"そのかゆみは、自分のものではなかった" ということに——。
第二章:奇妙な赤み
翌朝、腕に違和感を覚えた和也は、再び鏡を見た。
そこには——
無数の赤い線が浮かんでいた。
「……こんなの、昨日はなかったよな?」
ただの引っかき傷かもしれないが、形が妙だ。
まるで、誰かの指でなぞられた跡のように、綺麗に並んでいた。
ゾクリと背筋が寒くなる。
(もしかして……誰かに触られてる?)
不安になりながらも、仕事に向かった。
しかし、その日から、さらに異変が起こり始めた。
第三章:見えない“何か”
会社のトイレで、和也は鏡に映る自分の姿を見て固まった。
背後に、誰かが立っていた。
「っ……!!」
振り返るが、誰もいない。
もう一度鏡を見る。
今度は、何も映っていない。
「……おかしいだろ……。」
気のせいだと思いたかったが、かゆみはさらに強くなっていた。
特に、背中。
まるで、何かが這い回っているような感覚。
(病院、行ったほうがいいか……?)
そう考え始めた矢先、スマホの通知が鳴った。
「かゆい?」
差出人不明のメッセージ。
全身の毛が逆立つ。
(誰だ……?)
震える指で「誰ですか?」と返信した。
すると——
「私のかゆみ、あなたにあげたの」
「……っ!!」
背中を何かが撫でる感触がした。
第四章:記憶の違和感
「これは、呪いか何かか……?」
パニックになりながら、和也は思い出した。
(そういえば、最近、変なことが……。)
数日前——
夜道を歩いていると、ボロボロの服を着た女とすれ違った。
顔はよく見えなかったが、すれ違いざまにこう囁かれた。
「かゆいの、つらいよね……?」
(……あの時からか?)
慌ててスマホを開き、メッセージの送信元を調べた。
しかし、履歴には何も残っていなかった。
「……夢か?」
だが、その瞬間、スマホの画面が真っ暗になり——
そこに、手のひらを擦りつける音が響いた。
「……かゆい……かゆい……かゆい……」
和也は、恐怖で固まった。
(これ……俺じゃない……。)
エピローグ:広がるかゆみ
翌朝、和也のかゆみは消えていた。
(……終わった?)
そう思って胸をなでおろした。
しかし、会社に行くと——
「おい、なんか最近、異常にかゆいんだけど……。」
高橋が腕を掻きむしっていた。
「……それ、いつから?」
「いや、わからんけど……昨日くらいから。」
(昨日……俺のかゆみが消えた日。)
スマホを取り出すと、新しいメッセージが届いていた。
「かゆいの、移してくれてありがとう。」
和也の視線の先で、高橋が鏡を見て青ざめていた。
「……今、背中に誰か立ってた。」
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