目次
突然のかゆみ
ある夜、俺は突然異常なかゆみに襲われた。
右腕の内側がチクチクと痒い。
最初は軽く掻くだけでおさまっていたが、時間が経つにつれてどんどんひどくなっていく。
「なんだこれ……虫刺されか?」
電気をつけて腕を見たが、腫れや発疹はない。
それどころか、肌は綺麗なままだった。
だが、かゆみだけは強くなっていく。
「くそ……」
眠れずに苛立ち、つい爪を立てて掻いてしまった。
その瞬間、腕の内側から「ポリッ」と妙な音がした。
皮膚の下に何かがいる
「……え?」
俺はゾッとして、腕をまじまじと見つめた。
すると、皮膚の下がわずかに動いた気がした。
「……まさか」
試しに指で押してみると、確かに何か小さなものが皮膚の内側で動いている。
「……やべえ、これなんか入ってる!!」
焦りながら爪で皮膚を引っ掻くと、また「ポリッ」という音がした。
そして——
細長い何かが、皮膚の下をゆっくりと移動していた。
掻けば掻くほど増える
「……無理!!」
俺はパニックになり、すぐに病院へ向かった。
診察室に入り、医者に腕を見せると、彼は眉をひそめた。
「確かに、皮膚の下に何かいますね……」
そう言いながら、医者は腕を触診し、小さく唸った。
「掻きましたか?」
「……はい、めちゃくちゃ痒くて……」
その瞬間、医者の表情が一変した。
「掻いちゃダメだったのに……」
「え?」
医者は静かに言った。
「掻くと、増えますよ」
その言葉を聞いた途端——
全身が猛烈にかゆくなった。
皮膚の下を這うもの
「あ……あああ……」
今度は腕だけではない。
足、首、背中、腹、頭……全身が痒い。
かゆみに耐えられず、爪を立てて皮膚を掻く。
——すると、至るところで「ポリッ……ポリッ……」と音が鳴る。
皮膚の下がうごめく感触。
そして、俺は見てしまった。
掻きむしった腕の傷口の中から、無数の小さな白いものが蠢いているのを——。
医者がポツリと呟いた。
「……もう、止まらないですね」
かゆい、かゆい、かゆい
俺は気が狂ったように掻きむしった。
血がにじみ、爪が肉に食い込んでも、それでも痒みは止まらない。
「かゆい、かゆい、かゆい!!!」
叫びながら、自分の腕を引っ掻く。
皮膚が破れ、何かがポロポロと落ちる。
視界が赤く染まり、意識が遠のく。
——そして、俺は気づいた。
掻きむしった指の先に、俺と同じような傷跡を持つ無数の手が重なっていたことに。
彼らは、皆、掻き続けていた。
「かゆい、かゆい、かゆい、かゆい……」
——これが、俺の未来なのか?
それとも、俺はもう——
その群れの一部になっているのか?
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