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【止まらないかゆみ】掻いてはいけない理由 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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序章:突然のかゆみ

「……なんか、かゆいな。」

会社員の 村上亮介(むらかみ・りょうすけ) は、朝起きた瞬間に異変を感じた。

腕や首筋がチクチクとかゆい。

「蚊に刺されたか?」

布団をめくって確認するが、特に赤い腫れや刺された跡はない。

「まあ、そのうち治るだろ。」

そう思い、いつも通り出勤した。

だが、その日一日——

かゆみはどんどん広がっていった。

第一章:増えていくかゆみ

「村上、大丈夫か?」

同僚の 佐々木(ささき) が心配そうに声をかけてきた。

「いや、なんか肌がめっちゃかゆくてさ……。」

腕まくりをしてみると——

赤い斑点が無数に広がっていた。

「おいおい、それヤバくないか? 皮膚病とか?」

「そんなわけ……」

その時、亮介はゾッとした。

腕の赤い斑点が、うっすらと蠢いているように見えたのだ。

「……気のせいか?」

背筋に嫌な汗が流れた。

だが、その日はなんとか仕事を終え、帰宅した。

第二章:掻いてはいけない

帰宅後、鏡の前で改めて自分の腕を確認すると——

かゆみの範囲が、さらに広がっていた。

首、背中、足——全身に広がりつつある。

「……ダメだ、かゆすぎる。」

我慢できずに爪を立てて掻いた瞬間——

プチッ……

「……え?」

皮膚が裂け、そこから小さな黒い何かがウネウネと動いていた。

「うわぁっ!!」

慌てて手を離す。

しかし、裂けた傷口の奥で、何かがうごめいている。

「嘘だろ……これ、なんだ……?」

震える手でスマホを取り出し、「かゆみ 原因」で検索する。

しかし、ネットで調べても、こんな症状は見つからなかった。

その時——

スマホの画面が勝手に切り替わった。

「掻いてはいけません」

「……は?」

(誰が書いた?)

意味がわからず、画面を閉じる。

しかし、再びかゆみが強くなり、亮介は無意識に腕を掻いた。

ブチブチブチッ!!

皮膚が裂け、中から黒い幼虫のようなものがポロポロとこぼれ落ちた。

第三章:感染の正体

「な……何だこれ……!!」

震える手で、その黒い物体を払う。

しかし、それらはすぐに床へと潜り込んで消えていった。

「……やばい、やばい……!!」

必死に病院へ行こうとしたその時——

スマホの通知が鳴った。

《新着メッセージ》

差出人不明のメッセージが届いていた。

「見たね?」

「……誰だよ?」

次の瞬間、かゆみが一気に全身を襲った。

(うわああああ!!!)

耐えきれずに全身を掻きむしると——

皮膚の下から無数の黒い虫が這い出してきた。

口、耳、指の隙間、どこからともなく湧き出す。

その時、スマホの画面に最後のメッセージが表示された。

「お前も、次の“運び手”だ。」

エピローグ:消えた亮介

翌朝。

亮介の部屋には、誰もいなかった。

ただ、布団の上に黒い染みが広がっていた。

そして、彼のスマホには新しいメッセージが届いていた。

「かゆい かゆい」



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