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白い空間で会いましょう 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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最近、同じ夢を何度も見る。

それは、どこまでも続く白い空間の夢だ。

何もない。

空も地面も白く、遠近感すら曖昧な場所。

俺はそこに立っている。

何もないはずなのに、不思議と落ち着く。

——そして、決まって誰かと会話をする。

白い空間の住人

ある日、夢の中で俺は彼女に会った。

「やっと来たね」

透き通るような白い服を着た女の子が、微笑んでいた。

「君は……誰?」

「あなたと同じ。"ここ"に来る人」

「ここって……どこなんだ?」

彼女は少しだけ首をかしげた。

「"どこでもない場所" かな」

俺は夢の中なのに、なぜか言葉が自然と理解できる気がした。

「ねえ、あなたは"最初"を覚えてる?」

「最初?」

「この夢に初めて来た時のこと」

言われてみれば——思い出せない。

いつからか、この夢を見るようになり、気づいたら白い空間にいることが"当たり前"になっていた。

「ここでは、時間はないの。でもね、人は忘れることもないの」

「……どういうこと?」

「たとえば、昨日何を食べたか覚えてる?」

「……うん」

「ここに来た時のことは?」

「……それは、わからない」

彼女はクスリと笑った。

「だから、"ここ"は普通とは違うの。あなたは"最初"を思い出せない。でも、"ここにいること"は忘れない」

意味はわからないけど、不思議と納得してしまう。

「……じゃあ、俺はこれからどうなるんだ?」

「それはあなた次第。でも、また会えるよ」

そう言って、彼女はふっと消えた。

次の瞬間——

俺は目を覚ました。

白い空間はどこにあるのか

それからも、俺は何度も白い空間の夢を見た。

そして、彼女と話をした。

でも、いつも最後に「また会えるよ」と言われ、気がつくと目を覚ましている。

不思議なのは——

夢の中では、彼女の名前も、何を話したかも"ちゃんと覚えている"のに、現実では思い出せない。

ただ、「会った」という記憶だけが残る。

まるで、夢の中の記憶だけが、白い空間のどこかに置いていかれるみたいに。

今日も俺は眠りにつく。

そして、また——

白い空間で、彼女に会うのだろう。



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