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【黒い手紙】届いたら終わりの招待状 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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序章:奇妙な封筒

「……なんだこれ?」

会社員の 中村翔太(なかむら・しょうた) は、ポストの中に混じっていた奇妙な手紙を手に取った。

封筒は真っ黒で、差出人の名前も住所も書かれていない。

裏には、白い文字でこう書かれていた。

「ご招待」

(怪しいな……。)

興味本位で封を開け、中の便箋を広げた。

そこには、たった一行——

「4日後の夜9時に迎えに行きます。」

(迎えに……?)

意味が分からず、気味が悪くなった翔太は、手紙をゴミ箱に捨てた。

しかし、この時はまだ知らなかった。

“黒い手紙を捨ててはいけない” ということを——。

第一章:手紙のルール

翌日。

仕事から帰ると、玄関のドアに黒い封筒が貼り付けられていた。

「……昨日捨てたはずだよな?」

恐る恐る封を開けると、また同じ文面が書かれている。

「3日後の夜9時に迎えに行きます。」

しかも——

昨日の手紙よりも、文字が少し乱れている。

まるで、何かが焦っているかのように。

「悪質ないたずらか?」

翔太は不気味に思いながらも、そのまま手紙をビリビリに破り捨てた。

しかし——

その夜、部屋の中で異変が起こった。

第二章:誰かが見ている

コン……コン……

夜中の2時、玄関のドアを小さく叩く音がした。

「……こんな時間に?」

ドアスコープを覗くと、誰もいない。

しかし、床を見ると——

黒い封筒が置かれていた。

手紙を開くと、今度の文面はこうなっていた。

「あと2日後の夜9時に迎えに行きます。」

そして、便箋の端には、黒い指の跡がついていた。

「……気味が悪すぎる。」

翔太はすぐに警察を呼び、事情を説明した。

しかし、警察が到着した時には、手紙は消えていた。

「これじゃあ証拠にならないな……。」

警察は念のため周囲を巡回すると言い残し、帰って行った。

翔太は仕方なく、眠りにつこうとした。

しかし、その夜——

「……見てるよ……。」

耳元で囁く声が聞こえた。

第三章:消えた日付

翌朝、翔太は目を覚まし、リビングへ向かった。

すると、テーブルの上に黒い手紙が置かれていた。

「明日の夜9時に迎えに行きます。」

「……待て、昨日は“2日後”だったはずだろ?」

手紙の日付が1日分、消えている。

(……これ、日にちが減ってる?)

嫌な予感がして、スマホのカレンダーを確認する。

焦った翔太は、急いで手紙を燃やした。

しかし、次の日の夜——

手紙が、ベッドの枕元に置かれていた。

「今日の夜9時に迎えに行きます。」

最終章:迎えに来た者

夜9時。

(……来るのか?)

部屋の電気を消し、息を潜める。

時計の針が9時ちょうどを指した瞬間——

コン……コン……

玄関のドアを叩く音がした。

ドアスコープを覗くと、そこには——

真っ黒な人影が立っていた。

目も鼻も口もない、ただの黒い影。

「……やばい。」

翔太はスマホを手に取り、警察に電話しようとした。

しかし、スマホの画面には、メッセージが表示されていた。

「もう遅い」

「開けなさい」

ドアノブがガチャガチャと揺れ始める。

「やめろ!!」

翔太は必死に家具をドアの前に押し当てた。

しかし、次の瞬間——

ドアの隙間から、黒い紙がスルリと滑り込んできた。

手が震えながら、その紙を拾うと、そこには——

「もう中にいるよ」

という文字が書かれていた。

翔太は恐る恐る振り向いた。

そこには——

黒い人影が、すぐ後ろに立っていた。



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