目次
ある噂
小学生の頃、俺たちの町には「子供が消えるトンネル」という噂があった。
町外れの山道にある古いトンネル。今はほとんど使われておらず、壁はひび割れ、天井からは水が滴り落ちている。昼でも薄暗く、不気味な雰囲気が漂っていた。
「トンネルの中で子供の声が聞こえたら、絶対に振り向いちゃダメ。」
「振り向くと、消えた子供たちに連れて行かれるんだって。」
俺たちはその話を、怖がりながらもどこか楽しんでいた。
しかし、それはただの噂ではなかった。
消えた友達
ある日、放課後に友達のカズキが言った。
「なあ、あのトンネル、本当にやばいのかな?」
俺とマサトは顔を見合わせた。
「行ってみる?」
「……行くか。」
俺たちは軽い気持ちで、そのトンネルへ向かった。
トンネルの入口に立つと、中はひんやりとして、まるで別の世界のようだった。
「おい、カズキ、先に行けよ。」
「えー、やだよ。」
俺たちはふざけながら、中へと足を踏み入れた。
トンネルの中で
中を歩いていると、どこからか「クスクス…」という子供の笑い声が聞こえた。
「……誰かいるのか?」
マサトが声を潜めた。
風のせいかと思ったが、明らかに子供の声だった。
「ねぇ、一緒にあそぼ?」
次の瞬間、カズキが突然叫んだ。
「うわっ!!」
俺たちは驚いて振り向いた。
カズキの足が何かに掴まれていた。
真っ白な手が、地面から生えていたのだ。
「助けて!!」
俺たちは必死でカズキの腕を引っ張った。しかし、手はどんどん増え、カズキの体を引きずり込んでいく。
「おい! やめろ!!」
カズキの顔が恐怖に歪む。
「振り向いちゃダメ!!」
カズキが叫んだ。
その言葉を聞いた瞬間、マサトと俺は必死に前を向き、走り出した。
カズキの叫び声が後ろから響く──
そして、トンネルを抜けた瞬間、声はピタリと止んだ。
振り向くと、そこには誰もいなかった。
それから
俺たちは必死で大人に話したが、誰も信じなかった。
警察が調べても、カズキは見つからず、「行方不明」として処理された。
俺たちは何も言えなかった。
あのトンネルの中に何かがいる。
俺たちは、それを知ってしまったのだから。
数年後、町を離れる前に俺は最後にトンネルへ行ってみた。
入口に立つと、冷たい風が吹いた。
そして、トンネルの奥から、かすかに聞こえた。
「ねぇ、一緒にあそぼ?」
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