目次
序章:廃トンネルの噂
「おい、あのトンネル知ってるか?」
大学生の 藤井拓海(ふじいたくみ) は、友人の 佐々木涼(ささきりょう) から妙な話を聞いた。
「あそこ、子供が消えるって噂があるんだよ。」
「は? なんだよそれ。」
「10年くらい前、肝試しに行った子供たちが一人ずつ消えて、結局戻らなかったってさ。」
「じゃあ、なんでそんな話が広まってるんだよ。」
「最後に戻ってきた奴がいたらしい。でも、そいつ……何も話さず、すぐに引っ越したって。」
「……なんだよ、それ。」
不気味に思いながらも、拓海はそのトンネルに興味を持った。
(どうせ噂だろ……。)
そう思い、拓海と涼、そしてもう一人の友人 山田翔(やまだしょう) の3人は、実際にそのトンネルへ行ってみることにした。
だが、その決断が“何か”を目覚めさせることになるとは、まだ知らなかった。
第一章:子供の足音
夜11時。
拓海たちは噂の廃トンネルに到着した。
辺りは不気味なほど静かで、虫の声すらしない。
「うわ……マジで気味悪いな。」
涼がスマホのライトをつけると、壁には落書きがびっしりと書かれていた。
しかし、その中に明らかに古い文字で刻まれたものがあった。
「魍魎ヲ召喚スル儀ハ、幼子ノ血ヲ持テ……」
「……なんだよ、これ。」
「魍魎召喚……? なんかの儀式か?」
翔が呆れたように言う。
だが、その瞬間——
コツ……コツ……
トンネルの奥から、小さな足音が聞こえた。
「……え?」
誰かが歩いてくる。
暗闇の奥から——
小さな子供が、こちらを見ていた。
第二章:儀式の始まり
「おい、子供がいるぞ……。」
「こんな時間に? 迷子か?」
しかし、その子供は無表情でじっと3人を見つめていた。
その姿は——
10年前に消えたとされる子供たちの特徴と一致していた。
「やばい、これ……。」
拓海が一歩後ずさると——
ザザッ……
トンネルの壁に、奇妙な模様が浮かび上がった。
まるで、何かが中から這い出してこようとしているように——。
「……ねえ。」
子供が口を開いた。
「一緒にやろう?」
「……なにを?」
子供はにっこりと笑い、手を広げた。
すると、足元に無数の黒い影が集まり始めた。
「……っ!!」
影は次第に形を変え、人の顔のようなものが浮かび上がる。
それは——
この世のものではなかった。
第三章:魍魎召喚の儀式
「逃げるぞ!!」
拓海が叫んだ。
しかし——
体が動かない。
まるで、見えない何かに足を掴まれているようだった。
「いっしょにやろうよ……。」
子供の声が響く。
その瞬間——
ボンッ……!!
黒い霧が一気に広がり、辺りの空間が歪んだ。
トンネルの壁が溶けるように消え、そこには——
異形の者たちがうごめく世界が広がっていた。
「やばい……これ、やばいぞ……!!」
黒い影の中から、人の顔が浮かび上がる。
いや、それは……
かつてここで消えた子供たちの顔だった。
「……かえして……かえして……」
無数の声が響き、手がこちらへ伸びてくる。
最終章:最後の選択
「どうすれば……!!」
すると、涼がトンネルの壁にあった文字を指さした。
「魍魎ヲ封ズルハ、贄ヲ持テ」
「……贄!?」
誰かが犠牲にならないと、ここからは出られない——。
拓海は唇を噛んだ。
「……誰かが、ここに残るしかないのか?」
翔が震えながらつぶやいた。
すると——
「じゃあ、僕が残るよ。」
あの子供が、優しく笑った。
次の瞬間——
ドンッ!!
突風が吹き、3人は弾き飛ばされた。
気がつくと、3人はトンネルの外にいた。
しかし——
トンネルの入り口は、崩れたように塞がれていた。
エピローグ:封じられたもの
翌朝、警察がトンネルの跡地を調査したが、そこには何もなかった。
10年前に行方不明になった子供たちの手がかりも、一切見つからなかった。
しかし、拓海は知っている。
あの子供は、自ら“贄”となり、魍魎を封じたのだと。
そして、帰宅した拓海は、自分のスマホを見てゾッとした。
トンネルで撮ったはずの写真が、一枚だけ残っていた。
そこには——
笑顔のあの子供と、トンネルの奥から覗く無数の目が写っていた。
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