目次
序章:帰り道の暗がり
大学生の 中村翔太(なかむらしょうた) は、地元に帰省していた。
夜、久しぶりに地元の友人 工藤大輝(くどうたいき) と飲みに行き、帰り道を歩いていたときのことだ。
「なあ、翔太。お前、この道……覚えてるか?」
「ん? なんだよ急に。」
「……お前、中学のとき、ここで何か見たことないか?」
翔太は眉をひそめた。
この道は、小学校の頃から通っていた帰り道。
ただ、一か所だけ妙に暗い場所がある。
街灯があるはずなのに、なぜかそこだけ異様に暗い。
「……言われてみれば、あの暗がり、昔から気味悪かったな。」
「だろ?」
大輝が煙草をくわえながら言った。
「俺さ……今でも、あそこで何かがいる気がするんだよ。」
翔太は、嫌な記憶が蘇るのを感じた。
——あの暗がりには、何かがいる。
第一章:消えた同級生
「あのさ、覚えてるか? 山口浩太(やまぐちこうた) って。」
「……え?」
突然の名前に、翔太は思わず立ち止まった。
「浩太……って、あの、やたら元気な奴?」
「ああ。……でもさ、浩太って、いつの間にかいなくなったよな?」
確かに——
浩太は翔太たちの小学校の同級生だったが、中学に上がった頃から話題にのぼらなくなった。
「……転校したんじゃなかったっけ?」
「それが、調べたら、そんな記録はどこにもないんだよ。」
「え?」
「転校じゃなくて、消えたんだよ。」
翔太は、心臓が強く打つのを感じた。
「しかもな……浩太が最後に目撃されたの、あの暗がりの前だったんだ。」
第二章:暗がりの中へ
「……行くのか?」
翔太は、大輝が足を向けた方向を見た。
あの暗がり——
相変わらず、そこだけ不自然に暗い。
「……なあ、やめようぜ。」
「いや……俺はもう、確かめなきゃいけない気がするんだ。」
大輝はスマホのライトをつけ、暗がりの奥へと足を踏み入れた。
翔太も、仕方なく後に続く。
中に入ると——
異様に静かだった。
風の音も、遠くの車の音も、何も聞こえない。
——そして。
「……やっぱり、いたんだな。」
大輝が小さくつぶやいた。
第三章:見えない“何か”
「……おい、誰かいるのか?」
翔太がそう言った瞬間——
ザザザ……
何かが、地面を這うような音が聞こえた。
「……!!」
大輝がスマホのライトを向ける。
そこには——
何もいない。
だが、足元に何かの跡があった。
小さな、裸足の足跡。
「……浩太……?」
大輝がそっと声をかけた。
すると——
「——あのさ、俺、ここにいるよ。」
真後ろから、聞き覚えのある声がした。
最終章:暗がりの先
翔太と大輝が振り向いた瞬間——
そこには、浩太の姿があった。
ただし——顔が、ない。
「……え……?」
音もなく、浩太の体が“こちらへ”向かってきた。
「逃げろ!!」
大輝が叫び、二人は一目散に暗がりを駆け抜けた。
後ろから、何かがついてくる。
カツ……カツ……カツ……
足音が、増えていく。
翔太が振り向くと——
無数の顔のない子供たちが、暗がりからこちらを見ていた。
エピローグ:暗がりは消えない
翌日、翔太と大輝はもう一度、あの暗がりを訪れた。
しかし——
そこには、何もなかった。
街灯がついていて、暗闇など存在しない。
「……昨日のは、なんだったんだ……?」
しかし、翔太は気づいた。
暗がりはなくなっても——
視線だけは、まだどこかから感じていた。
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