目次
取り壊されない井戸
俺の地元には、「決して埋めてはいけない井戸」と呼ばれる古井戸がある。
山あいの集落にあり、もう何十年も使われていない。
周囲の家々は廃れ、ほとんど人が住んでいないのに、なぜか井戸だけは残されていた。
「あの井戸は埋めちゃいけないんだよ」
子供のころ、祖母がそう言っていたのを覚えている。
理由を聞いても、「昔からの決まりだから」としか答えてくれなかっ
好奇心と後悔
大学生になった俺は、夏休みに地元へ帰省した。
久々に会った幼なじみの健二と飲みながら、ふとあの井戸の話になった。
「結局、なんで埋めちゃダメなのか、誰も知らないんだよな」
健二は酔った勢いでこう言った。
「だったら、俺たちで覗いてみねえか?」
止めておけばよかったのに、その時の俺は面白がって同意してしまった。
深夜、懐中電灯を片手に、俺たちは問題の井戸へ向かった。
井戸の中の何か
井戸は予想以上に深く、底は真っ暗だった。
健二がスマホのライトを照らしながら、石を投げた。
コツン……カツン……
時間差で音が響く。
「結構深いな」
次の瞬間、健二が驚いた声を上げた。
「……おい、なんか光ってねえか?」
俺もライトを当てる。
すると、井戸の底に白い布のようなものが見えた。
「なんだあれ?」
「……人形か?」
健二が興味本位でバケツを使い、それを引き上げようとした。
這い上がるもの
バケツに布が引っかかり、ゆっくりと上がってくる。
「古い着物みたいだな……」
しかし、布が持ち上がるにつれ、妙な違和感があった。
それは、まるで——
「中に何か入ってるみたいだ」
次の瞬間、バケツの中の布が動いた。
いや、正確には中から何かが這い出ようとしていた。
「やべえ、やべえ、離せ!」
健二が手を離し、布の塊はずるりと井戸へ落ちていった。
だが——
カツン……コツン……
井戸の底に落ちる音はしなかった。
代わりに、井戸の奥から聞こえたのは——
「……みつけた……」
消えた友人
俺たちは恐怖で駆け出した。
もう二度と近づかないと誓った。
だが、次の日——
健二が姿を消した。
家族にも、友人にも、どこへ行ったか分からないという。
警察の捜索も空振りに終わった。
不思議だったのは、健二が最後に使ったはずのスマホが、なぜかあの井戸の近くに落ちていたことだ。
井戸を埋めてはいけない理由
その後、俺は地元の古い記録を探した。
すると、こんな話が出てきた。
「昔、この村では、災厄を封じるために、ある儀式を行っていた」
「それは、生贄を井戸に沈めること」
「その霊が外に出ないように、井戸は決して埋めてはならない」
震えが止まらなかった。
もしかして、俺たちは——
封じられていたものを起こしてしまったのか?
そして健二は——
井戸の中に引きずり込まれたのか?
俺は再び井戸を見に行く勇気はなかった。
ただ、今でも耳元で囁く声が忘れられない。
「……みつけた……」
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