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暗がりの小さなトンネル──中古のおもちゃを欲しがる子供 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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中古のおもちゃ

俺は昔から古いものが好きだった。

古着、古本、アンティーク家具──そして、中古のおもちゃ。

ある日、ふらっと立ち寄ったリサイクルショップで、ボロボロのクマのぬいぐるみを見つけた。

「かわいそうに……」

茶色の毛はすり減り、片方の目が取れかけている。

値段はたったの100円。俺は迷わず買った。

「大事にしてあげよう。」

そう思ったのが、間違いだったのかもしれない。

暗がりの小さなトンネル

その日、俺は近道をしようと町外れの古いトンネルを通ることにした。

トンネルは狭く、薄暗い。昼間でも奥の方は闇が濃く、何があるのかよく見えない。

コツ…コツ…

足音が響く。

途中まで進んだとき、ふと違和感を覚えた。

誰かがいる。

目を凝らすと、奥の方に小さな子供が立っていた。

青白い顔に、古ぼけた服。

「……こんな場所に、子供?」

背筋が冷たくなる。

この子は、この世のものではない──

直感的に、そう思った。

おもちゃを欲しがる子供

子供は、じっと俺を見ていた。

そして、静かに手を伸ばす。

「……おもちゃ……」

か細い声が、トンネルに響いた。

「……え?」

「おもちゃ……ちょうだい……」

俺のバッグの中には、さっき買ったクマのぬいぐるみが入っている。

なぜ、それを知っている?

俺は恐怖に震えながらも、無意識にバッグからぬいぐるみを取り出し、子供に差し出した。

子供は、無言でそれを受け取ると──

スッ──と、闇の中に消えた。

何の音もなく、ただ消えた。

まるで、最初から存在しなかったかのように。

その後

俺は、逃げるようにトンネルを抜けた。

息を整えながら振り返ると──

トンネルの入口に、ボロボロのクマのぬいぐるみが置かれていた。

「……え?」

さっき、あの子に渡したはずなのに。

恐る恐る近づくと、ぬいぐるみの片方の目が完全に取れ、中から何かが覗いている。

小さな、黒い瞳が。

俺は悲鳴を上げ、ぬいぐるみを置いたまま走り去った。

あの子は、まだおもちゃを探しているのだろうか──。



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