目次
第一章──中古のおもちゃ
大学生の翔太(しょうた)は、ふと立ち寄ったリサイクルショップで、一つの古いおもちゃを見つけた。
それは、ゼンマイ仕掛けのブリキの車だった。
どこか懐かしさを感じ、特に理由もなく購入した。
「500円か……まあ、インテリアにでもするか」
店員は無表情で、やけに無愛想だったが、特に気にせず店を出た。
第二章──暗がりの小さなトンネル
その帰り道、翔太は近道をしようと、小さな歩行者用トンネルを通ることにした。
街灯が少なく、昼間でも少し暗い。
「やっぱりちょっと不気味だな……」
トンネルの中ほどに差し掛かったときだった。
ぽつん、と立つ小さな影。
幼い男の子だった。
顔が見えないほど、異様に暗がりが濃く、その子供だけが影の中に溶け込んでいるようだった。
翔太は、直感でわかった。
──この子は、生きていない。
第三章──消えない子供
翔太は足を止め、慎重に距離をとる。
子供はゆっくりと顔を上げた。
目が、ない。
「おにいちゃん、それ……ちょうだい」
そう言って、翔太が持っていたブリキの車を指さした。
(……このおもちゃ?)
渡すべきか、一瞬迷った。
だが、本能的に「渡さなければならない」と思った。
「……いいよ」
そう言って、おもちゃをそっと床に置いた。
すると、子供は静かにしゃがみ、ゼンマイを巻き始めた。
ギリ……ギリ……ギリ……
ゼンマイの音がトンネルに響く。
すると、子供の輪郭がぼやけ、少しずつ霧のように消えていった。
ブリキの車がカタカタと走り出し、トンネルの奥へと進んでいく。
翔太が目をこらすと、暗がりの中で、無数の子供の手が、車を迎えるように伸びていた。
カタ……カタ……カタ……
ブリキの車は闇の中へ消え、そして、トンネルには何もいなくなった。
第四章──リサイクルショップの秘密
翌日、翔太はどうしても気になり、あのリサイクルショップへ行った。
しかし、そこには何もなかった。
店があったはずの場所には、十年以上も前に閉店したままの、朽ちた建物があるだけだった。
「……昨日、確かにここで買ったのに」
困惑しながら、閉ざされた扉を見つめる。
すると、扉の隙間から、何かが見えた。
──古びたブリキの車が、ポツンと転がっていた。
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