目次
記憶の片隅にある家
誰にでも、子供の頃の記憶の中に「なんとなく引っかかるもの」があると思う。
俺にも、どうしても説明のつかない記憶がある。
それは、小学生の頃に住んでいた町での出来事だ。
不気味な古い家
当時、俺の家の近くには古びた日本家屋があった。
周りの家より少し大きくて、門構えも立派だったが、長い間人が住んでいる気配はなかった。
友達と「幽霊屋敷だ」なんて言って、時々その前を通りながら肝試しをしていた。
ところが、ある日。
俺はその家の前で、見知らぬ子供に声をかけられた。
「ねえ、遊ぼう。」
同い年くらいの男の子だった。
不思議なことに、俺は彼をまったく警戒しなかった。
まるで、昔から知っている友達のような気がしたからだ。
俺はそのまま、その子と一緒にあの家の中に入った。
ありえない光景
家の中は驚くほど綺麗だった。
畳も新しく、障子も真っ白。
でも、妙に静かだった。
俺はその子と一緒に、縁側でビー玉を転がしたり、おはじきをして遊んだ。
どれくらい時間が経っただろう。
ふと気がつくと、その子が言った。
「そろそろ帰ったほうがいいよ。」
「え? なんで?」
「もう暗くなるから。」
確かに、外は少し薄暗くなりかけていた。
俺は「また明日遊ぼう!」と言って、その家を後にした。
ところが、次の日。
学校帰りにその家の前を通ると、昨日遊んだはずの家が、完全に廃墟になっていた。
障子は破れ、畳はボロボロ、庭は雑草だらけ。
まるで、何年も誰も住んでいないかのような状態だった。
「え……?」
俺はあの時、確かにこの家の中で遊んでいた。
じゃあ、あの時の家の中は……?
あの子は、一体誰だったのか?
大人になってからの違和感
その後、その家は取り壊され、新しい家が建った。
俺も成長し、その町を離れたが、時々思い出すことがある。
──あれは夢だったのか? それとも、何か別の世界に迷い込んでいたのか?
今になって思えば、あの子と遊んでいた時、家の中には不自然なほど静寂が漂っていた。
セミの声も、風の音もなかった。
まるで、俺とあの子だけの時間が、切り取られたような──。
考えれば考えるほど、不気味な記憶だった。
あの家で、俺は本当に遊んでいたのだろうか……?
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