目次
幼い頃の記憶
大人になった今でも、時々ふと思い出す。
あれは、本当にあったことなのか、それとも子供の頃の勘違いだったのか。
「月が二つあった夜」の話だ。
祖父の家で見たもの
小学生の夏休み、俺は毎年、田舎にある祖父の家に遊びに行っていた。
田舎の夜は暗く、星が驚くほど綺麗に見えた。
ある晩、祖父と一緒に庭で夕涼みをしていたとき、ふと空を見上げた俺は、思わず目をこすった。
──月が二つ、並んで浮かんでいたのだ。
「おじいちゃん、あれ……!」
祖父はゆっくりと空を見上げ、そしてにこりと笑った。
「お前にも見えるのか」
「な、何で月が二つもあるの?」
祖父は少し考えたあと、ぽつりと言った。
「昔の人はな、こういう月を『もう一つの世界の月』と言ったもんだ。」
「もう一つの世界?」
「そうさ。お前が今いるこの世界とは別の場所があって、時々、こうして月がふたつ見える夜があるんだよ。」
俺は怖くなって、祖父の袖をぎゅっと掴んだ。
すると祖父は優しく頭を撫でて言った。
「心配することはないよ。この月が見えるのは、特別な人だけだからな。」
特別な人。
その言葉が、なぜか心に深く残った。
もう一つの月はどこへ?
次の日、昼間のうちに母に「昨日、月が二つあったんだよ!」と話した。
だが、母は「そんなわけないでしょう?」と笑うだけだった。
「でも、おじいちゃんも見たんだよ!」
そう言うと、母は少し寂しそうな顔をして言った。
「……おじいちゃんは、昔から不思議なことをよく言うのよ。」
その夜、もう一度月を見ようと庭に出た。
でも、空に浮かんでいたのはいつも通りの、一つの月だけだった。
「……夢だったのかな。」
それでも、祖父が確かに隣で見ていたことを、俺は覚えている。
大人になってから
それから何年も経ち、祖父は他界した。
俺は大人になり、もう田舎の空を見上げることも少なくなった。
だが、ある夜。
久しぶりに夜空を見上げた俺は、ふと違和感を覚えた。
──いや、違和感ではない。
空の片隅に、うっすらともう一つの月が見えた気がしたのだ。
目をこすり、もう一度見上げる。
しかし、そこにあるのはやはり一つの月だけ。
「……おじいちゃん、もしかしてまたどこかで見てるのかな。」
そんなことを思いながら、俺は懐かしい田舎の夜を思い出していた。
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