怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

しっぽのある友達 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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いつもの帰り道

俺は大学の帰り道、いつも同じ道を通る。駅から少し離れた住宅街の路地を抜け、小さな神社の横を通るのが習慣だった。

ある日、その神社の前で白い子犬を見つけた。

——いや、子犬……なのか?

ふわふわの白い毛、細くてしなやかな体つき、そして——長くてふさふさしたしっぽ。

子犬にしては妙に大きな、しっぽ。

その日は特に気にせず、軽く頭を撫でて帰った。

ついてくる影

次の日から、俺は奇妙なことに気づいた。

誰もいないはずの道で、もう一つの足音が聞こえる。

振り返っても誰もいない。

それなのに、ふとした瞬間、視界の端にふさふさした白いしっぽが揺れるのが見えた。

気のせいだと思い込もうとしたが、それから毎日、同じことが続いた。

夢の中のしっぽ

そんなある晩、夢を見た。

暗闇の中、白い影が立っている。

それは——あの神社で見た白い子犬の姿だった。

ただし、人の形をしていた。

「……気づいてくれた?」

耳元で、女の声がした。

そこで目が覚めた。

しっぽの正体

気になった俺は、翌日、神社の宮司さんに話を聞いてみた。

「この神社には昔、『しっぽ様』と呼ばれる存在がいたそうです。人間に化けることができた白狐で、恩を受けた人間には守りを、怒らせた者には祟りを与えたと……」

宮司さんが言うには、そのしっぽ様は数十年前に姿を消し、それ以来誰も見た者はいないという。

「でも、最近になってまた噂があるんですよ。『夜道で白いしっぽがついてくる』ってね……」

しっぽは、まだそこに

それ以来、足音も、しっぽの気配も感じなくなった。

ただ、一つだけ気になることがある。

——俺の影が、少し長くなった気がする。

まるで、後ろに**もう一本、しっぽのようなものが揺れているかのように——。



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